死刑囚の母に問う〜和歌山毒物カレー事件20年〜 2018年7月24日放送回

放送日 2018年7月24日(火) 23:55~ 0:40
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
23:55~

今から20年前に発生した和歌山毒物カレー事件で死刑を言い渡された主婦の子息、孝一さん(仮名)は今も無実を主張する母親と手紙のやり取りをしていた。平成の終わりが近づく今、事件の区切りを求める声が充溢するなか、孝一さんは母親から本当の真相を語って欲しいと切に願っている。

キーワード
大阪拘置所
和歌山毒物カレー事件

死刑囚の母に問う〜和歌山毒物カレー事件20年〜 (バラエティ/情報)
23:59~

林孝一さん(仮名)は素性を隠しながら、今も和歌山市内で一人暮らしを続けている。死刑囚の母親に似ていると言われるため、外出時には伊達メガネが欠かせないという。拘置所の母親からは毎月のように手紙が送られてきていて、4人の我が子について綴られていた。林さんは自分たちの成長をカメラに収める母の姿が印象に残っていて、世間が報じる”凶悪犯”というイメージとはあまり一致しないと話す。そんな孝一さんは現在、産業廃棄物を回収するトラックドライバーとして働いている。

1998年7月25日、住民同士の交流のために行われた夏祭りで、振る舞われたカレーを食べた人のうち63人が急性中毒となった他、4人が死亡した。疑惑の目は毒物を使って入院などの保険金を騙し取っていた夫妻に向けられ、同年10月に逮捕された。当日は林さんの小学校で運動会があり、前夜に母親は絶対に行くと話していたという。だが翌日、起きた時に両親はいなかった。逮捕後、自宅は壁一面に落書きされ、放火もされた。4人の子どもたちは児童相談所に保護されたが、”悪魔の子”などと忌み嫌われたり、壮絶なイジメが待ち受けていた。夕食のカレーには何度も乾燥剤が混入されたこともある。泣いたりすると状況は悪化するため、感情を見せられなかったという。その後、きょうだいは就職や結婚を機に母と距離を置くようになった。実姉の存在がSNSで最近になって分かったが、孝一さんにはどこにいるのか、何をしているのか明かすことはないという。

事件現場のヒ素と自宅で発見されたヒ素が同一だとする鑑定結果などが考慮され、2009年に死刑判決が確定した。一方で自白や直接の証拠はなく、動機は未解明とされた。孝一さんの父親は既に出所していて、孝一さんは世話をしながら母親との面会を続けている。一方の母は再審を求めていたが棄却され、「事件から離れて、自分の人生を歩んで欲しい」と孝一さんに願った。夫のもとには度々、離婚届を郵送されている。この頃、孝一さんには結婚を約束している女性がいて、女性の両親には死刑囚の母については秘し、幼い頃に死別したと伝えていた。だが、婚約者からは結婚前に母と縁を切って欲しいと頼まれ、考えた末に素性を婚約者の両親に打ち明けたところ、婚約は破談となった。

孝一さんは悩む度、死刑囚の母の存在を打ち明けても受け入れてくれる友人の店に足を運んでいる。迷惑がかからないよう、閉店間際に立ち寄り、ささやかな談笑でも気が楽になるという。取材中に交わしていたのは、友人の家族の話題だった。その後、孝一さんは母を今後も見届ける決意を手紙に綴り、「凶悪犯だったとしても逃げ出すんじゃなくて、一緒になって被害者遺族だったり、ちゃんと許しを請う。僕自身も覚悟したうえでの信じるという言葉ですかね」と吐露した。

孝一さんの実家の跡地では夏前に住民総出で清掃活動が行われた。住民の中には事件で家族を亡くした遺族がいる。20年目に自治会として慰霊の会を開くという提案がされたが、反対多数で実現しなかった。

被害者の会の副会長を務めていた杉谷安生さんは和歌山毒物カレー事件の凄惨な現場について語った。中毒症状を訴える人々の中には杉谷さんの娘さんがいたが、一命を取り留めた。事件については触れて欲しくないとしつつ、真相解明を望む。

孝一さん(仮名)は裁判資料や記事を集め、真相について考え続けてきた。母とは面会をしているが、家族に関して尋ねてくるだけで、事件については口を閉ざすという。孝一さんは納得のいく答えが欲しいと今年、自分から事件について切り出すと腹を決め、30分の面会へと臨んだ。拘置所を出ると報道陣の質問に応じ、「体は痩せ、白髪が増えていた」などと答えた。今の心境を聞くと、母は死刑執行が迫っていると思い込む時期もあったという。孝一さんは「本当にやっていないの?」と聞くと、母はイラッとした表情を浮かべ、保険金詐欺は認めたものの、「カレーに毒なんかやっていない。やる意味がない」と目をまっすぐ見て答えたという。孝一さんは「息子としては信じたい」と語った。

面会後、孝一さんは友人の店を訪れ、「母との面会後には涙がこぼれ、拘置所のトイレで涙が収まるまで待ってから外の取材に答えた」ことなどを明かした。面会から2週間後、オウム真理教の元教祖らの死刑が執行されたというニュースが報じられた。和歌山毒物カレー事件から今日で20年の月日が経過した。

キーワード
和歌山毒物カレー事件
ヒ素
園部(和歌山)
林真須美死刑囚
和歌山地裁
和歌山市(和歌山)
オウム真理教
大阪拘置所

エンディング (その他)
00:39~

エンディング映像。

NHKオンデマンドで配信します。

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  1. 7月24日 放送