キタサンブラック 日本一への道〜サブちゃんと男たちの物語〜 2017年12月31日放送回

放送日 2017年12月31日(日) 5:15~ 6:00
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
05:15~

日本を代表する演歌歌手「サブちゃん」がオーナーとなった「キタサンブラック」は、なかなか買い手がつかない無名の馬から日本一に上り詰めた。最も格式の高いG1レースで歴代最多の7勝をあげ、獲得賞金は史上最高となった。サブちゃんはキタサンブラックを”神様からの贈り物”と呼び、自分の人生と重ね合わせてきた。生まれは同じ北海道で、長い下積み時代から努力を重ね這い上がり、スターの座を手にした。サブちゃんは「馬の人生と行き方は似ている。与えられた道を調子が悪くてもまっすぐ走っていかなくてはならないという宿命を感じる」などと語った。80歳を超えたサブちゃんはここ1年あまりは体調を崩しステージを休止することもあった。そんなサブちゃんのためにもキタサンブラックを勝たせたいと、騎手の武豊をはじめ、チーム一丸となって厳しい戦いを乗り越えてきた。そんなキタサンブラックとサブちゃんと仲間たちの日本一への挑戦の日々を追った。

キーワード
サブちゃん
キタサンブラック
G1レース
武豊
北海道

キタサンブラック 日本一への道 (バラエティ/情報)
05:18~

キタサンブラックは3年前から、2千頭の競走馬が暮らす栗東トレーニングセンターで調教を受けている。キタサンブラックの特徴は黒くて大きな馬体で、重さは550キロ近くある。鼻の上に一直線に伸びる白い線がトレードマーク。神経質な馬が多い中、性格はおだやかで賢い馬だという。調教師の清水さんは「いらいらしない。どんと落ち着いて構えている。全てにおいて優れている」などと語った。

サブちゃんとキタサンブラックの出会いは運命的だった。5年前の夏の日、サブちゃんは公演の合間に北海道の日高町にある牧場を訪れた。1頭の子馬と偶然目が合い、きれいな目をしていると思ったが、その馬は体が華奢で目立った特徴もないため、なかなか買い手が見つからない馬だった。サブちゃんも買う気は起きなかったが、帰りの車でその馬の目が思い出され、その場で牧場に電話をかけ”あの馬を俺に売ってくれ”と言ったという。サブちゃんは「なんとなくひかれるものがあった。今まで何百という馬と出会ってきたけれどもこういう絆みたいなものがこの馬とはあったのかな」などと語った。ようやく買い手は見つかったが、一流になると感じた者はいなかった。競走馬として基礎を身につけるため送られた育成施設のスタッフは「馬房のぞいてみたらいつも寝ているという印象があった。すごいリラックスしている珍しい馬。いい馬になるのか駄馬になるのかどっちか」などと語った。

北島三郎は芸能生活の傍ら、50年以上馬主を続けている。馬主の道に足を踏み入れたきっかけは先輩の春日八郎からの誘いだったという。保有してきた馬は200頭以上で、これまでG1レースで勝つ馬に出会ったことはなかった。それでもゴールまで懸命に走りつづける姿は芸能生活に重なると、こよなく自分の馬を愛してきた。サブちゃんは「ビリを走る馬を見るとごめんなと思う。厩舎に行くと馬の方が気づいて申し訳なさそうな顔して見る。口をきかなくても自分の子供と一緒という気がする」などと語った。

初出場の3歳の馬で競い合うレースでデビューしたキタサンブラックは、逆転勝ちで周囲を驚かせた。調教師の清水久詞さんは「もっと鍛えたら鍛えるだけ強くなるんじゃないかなというのは3歳の頃からあった」などと語った。高低差32メートル、長さ1000メートルの急坂”坂路”を全力で駆け上る、坂路調教というトレーニングを取り入れた。平地よりも効率的に鍛えられるがその分馬への負担は大きい。並みの馬なら1日1本でバテるところを、キタサンブラックは多いときで3本走った。この過酷なトレーニングに耐え、心肺機能は飛躍的に高まり、華奢だった体も人一倍大きく成長した。獣医師の清水靖之さんは「幅は来た時に比べると1.5倍くらいになった。この子はすごく丈夫だったからできたが、あの調教をやれば故障したりする子も中には出てくると思う」などと語った。

驚異的な成長を遂げたキタサンブラックは、3度めのG1挑戦となった一昨年の菊花賞で優勝し、サブちゃんに初めてのG1勝利をもたらした。3200メートルを走るマラソンレースとなる春の天皇賞では、キタサンブラックは序盤から先頭となり、スタミナを活かしてペースを落とさず走り続けた。一度抜かれたが、必死で食らいつく驚異的な粘りを見せ、 鼻差の逆転勝利を遂げた。キタサンブラックは、スタミナと精神力を活かした泥臭さを自分のものにした。キタサンブラックをサブちゃんは「神様がくれた宝物」という。努力を重ね上り詰めた姿に自分の人生を重ね合わせているという。

サブちゃんは北海道の小さな漁村で7人兄弟の長男として生まれた。昭和29年、高校卒業後、歌手を目指し、鞄一つで津軽海峡を渡り上京した。渋谷で、酒場の流しとして3曲100円で歌う、貧しい下積み生活を7年続けた。ある日、客で来ていたレコード会社の社員に偶然見初められ、昭和を代表する作曲家船村徹と出会った。デビューして2曲めの船村徹作曲の「なみだ船」が大ヒットし、翌年には紅白歌合戦に初出場した。運を掴んでスターへの道を駆け上ったサブちゃんは、「馬の人生と行き方は似ている。与えられた道をまっすぐ。チャンスはあまりないんだから来たときは大事に。運が向いているときは運に向かって進んでいこう」などと話した。

ジャパンカップや有馬記念で勝利したキタサンブラックにことし6月、大きな試練が立ちはだかった。それは、世界最高峰とされるフランスの凱旋門賞に挑戦するため、宝塚記念で勝利するということ。手綱を握るのは武豊騎手。2年前に北島三郎から勝利に導いてほしいと託された人物。最大のライバルはサトノクラウン。この日、キタサンブラックは圧倒的な一番人気。多くのファンが勝利を信じていた。しかし、最後の直線でまさかの失速。結果は9着だった。これにより凱旋門賞への挑戦は断念。そして、北島三郎もまた大きな節目を迎えていた。4年前にNHK紅白歌合戦を勇退し、46年続けてきた座長公演からも身を引いた。そんな中、去年自宅で転倒し大けがを負う。落ち込む北島を励ましたのがひたむきに走るキタサンブラックの姿だったという。

宝塚記念で惨敗したキタサンブラックが再起をかけて目指すことになったのが秋の天皇賞。勝利のカギを握るのが調教担当の黒岩悠さん。3年前からスタートやコーナーの走り方など、競走馬に必要なことを1つ1つ教えてきた人物。今ではわずかな仕草から状態を感じ取ることができる。宝塚記念の敗北は疲労の蓄積によるものだと考えた黒岩さんはこれまでのきついメニューをやめ、じっくりと負荷をかけるメニューに変えた。

現役の騎手でもある黒岩さん。デビューは15年前。2年目には17勝をあげ、将来を期待されていた。しかし、レース中の落馬で全治6か月の重傷を負い、それ以来勝てない日が続いた。騎乗の依頼も激減し、何度も引退を考えた。そんな中、調教の手伝いをしないかと声をかけられた黒岩さん。そこで出会ったのがキタサンブラックだった。そんな黒岩さんからレース本番で手綱を託される武豊騎手も天皇賞での復活に熱い思いを抱いていた。キタサンブラックに巡り合わせてくれた北島に恩返ししたいと考えていた。

10月29日の天皇賞、激しい雨の中でのレースとなった。最大のライバルは宝塚記念で1着となったサトノクラウン。北島はとにかく全力で走り抜いてほしいと考えていた。そんな中、キタサンブラックはスタート直後、ゲートに頭をぶつけてよろけてしまう。大きく出遅れたキタサンブラック。先行粘り勝ちを信条とするキタサンブラックにとって大きなピンチだった。しかし、武騎手はぬかるみがひどいコースの内側にあえて突っ込ませて一気に先頭へ。ゴール直前でサトノクラウンが迫ってきたが、キタサンブラックが見事な粘りで逃げ切った。調教からレース本番までチーム一丸となって劇的な復活を遂げた。

北島はテレビの歌番組に本格復帰。リハビリを続けながら毎週レギュラー番組に出演している。新曲のレコーディングにも取り組んだ。

サブちゃんは今年いっぱいでのキタサンブラックの引退を決意した。子孫を残すため、故郷の北海道に戻ることになった。引き際は美しくというサブちゃんの親心だった。ラストランの舞台は有馬記念。勝てば日本一、G1勝利は歴代最多タイの7勝、獲得賞金は史上最高となる。キタサンブラックのために最高の花道にしたいと騎手の黒岩は入念な調整を行っていた。最後に確認したのはスタートの練習だった。調教を担当した黒岩は、ひとつの勝ちはみんなが努力してそれがはまったときに勝ちが生まれる、先頭で駆け抜けてほしいと話した。キタサンブラックを育成した北海道の日高軽種馬共同育成公社では、キタサンブラックラストランのときに貼る横断幕を作成していた。

12月24日有馬記念当日、10万人を超える観客がキタサンブラックのラストランを見ようと押し寄せた。サブちゃんとともに調教師の清水久詞さん、黒岩悠騎士も最後の有志を見守った。手綱を握るのは武豊。心配されていたスタートは好スタートを切って先頭にたつ。この日の走りはラストランにふさわしい王者の力を見せつけるものだった。身体が華奢だった無名の馬が日本一の頂に上り詰めた。この日サブちゃんはキタサンブラックのために特別な舞台を準備していた。壇上に呼ばれたのは武豊や調教師の清水、黒岩、キタサンブラックを影で支えた男たちだった。サブちゃんとキタサンブラックのお別れの時が来た。サブちゃんは終わりと同時に始まりだと思う、一生のうちにこんなに感動する日が81歳になって感じたと話した。サブちゃんは万感の想いを込めて歌った。

キーワード
栗東トレーニング・センター
滋賀県
キタサンブラック
ヤナガワ牧場
日高軽種馬共同育成公社
新冠町(北海道)
日高町(北海道)
春日八郎
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新馬戦
G1
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故船村徹
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宝塚記念
サトノクラウン
ミルコ・デムーロ騎手
NHK紅白歌合戦
男の夢
中山競馬場

エンディング (その他)
05:57~

エンディング映像が流れた。

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