ファーブルもびっくり! ぞくぞく発見!夢のムシ技術 2016年3月6日放送回

放送日 2016年3月6日(日) 16:45~17:28
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
16:45~

昆虫が誕生しておよそ4億年。厳しいサバイバルを勝ち抜いてきたムシたちはみな脅威のテクノロジーを身に着けている。セミは危険を察知すると2枚の羽根が合体し素早く飛び立つ。そんなムシたちのテクノロジーに今注目が集まっている。カブトムシの素早い羽根のしまい方は宇宙空間の太陽光パネルに応用され、医療分野では痛みを与えず血を吸う蚊のテクノロジーが画期的な注射針に利用され、エネルギー分野ではトンボのすぐれた飛行能力の研究から自然エネルギーに革命が起きようとしている。去年ドイツで開かれた産業見本市でメルケル首相が手にとったのはムシのロボットだった。ムシの秘めた可能性は最先端の研究のヒントになっている。続々と発見されるムシのテクノロジー、それが変えるかもしれない私達の未来を見ていく。

キーワード
ハノーバーメッセ
メルケル首相
ドイツ
セミ
カブトムシ
トンボ

ファーブルもびっくり! ぞくぞく発見!夢のムシ技術 (バラエティ/情報)
16:48~

ジャン・アンリ・ファーブル(津川雅彦)と助手のピエール(渡部豪太)によるドラマ。ピエールは気づかないうちに蚊に刺されていた。ファーブルの時代にはわからなかったが、現在の技術によって蚊の能力が明らかになった。

体長1cmに満たない蚊は私達の皮膚を痛みもなく刺し、血を吸い上げて去っていく。なぜ私達は刺されても痛みを感じないのか。蚊の針の長さは2ミリ、太さは0.1ミリで髪の毛ほどの太さ。蚊は刺したことに気づかれると叩き潰されてしまうため、刺しても痛くないメカニズムを進化の過程で獲得した。

最新のデジタルマイクロスコープで観察・撮影すると、蚊の針は皮膚に刺したあとで動いている。針の構造を見ると、針の先端は100分の5ミリの太さで、両脇にギザギザが付いた構造になっている。蚊の針の細さは人が痛みを感じる痛点をすりぬける。ギザギザによって皮膚を巻き込むことなく交互に少しずつ掘り進んでいくために痛点への刺激は最小限で済み、痛みの発生を抑えている。

この蚊の技術を応用した痛くない注射器の研究が進んでいる。ロボット工学を研究している関西大学の青柳誠司博士は「蚊は究極のマイクロロボット」だとして10年来研究に取り組み、去年新たな注射器を生み出した。先端に付いている針は蚊の針の動きを再現していて、痛くない注射器マシンとして様々な血液検査への応用が期待されている。青柳誠司博士は「マイクロTASという、1滴の血液で色んなことが分かる研究が進んでいる」「それと組み合わせれば、僅かな領を痛みなく採れる針は重要性を帯びてくる」と語った。

ファーブルは糸の強さを比較検証する実験をしていた。シルクは綿、羊毛より重さに耐えられることがわかった。カイコの繭は伸ばすと1200メートル以上にもなる一本の糸で作られているという。

シルクも医療分野での期待が集まっている。シルクは鉄に匹敵する強さの糸だと言われてきた。カイコは一本の糸で繭を作り、繭の中で蛹となり成虫になる。この間は生涯で最も無防備になるため、天敵や風雨から身を守る強力なシェルターが必要になる。

カイコは1分間に60センチのペースで、体の中から糸を引っ張り出している。カイコの体内では糸は液体で、そこにヒモのようなものが浮いている。カイコが繭を作る時には液体とともにそのヒモが引っ張られて伸び、ヒモについた触手が外側を向く。触手は強力な磁石のような性質を持ち、口にたどり着くと触手同士が網の目のようにくっついて全体が一つに結びつく。引っ張られ、圧縮されることで鉄にも負けない強さが生み出される。シルクの強さが先端医療を変えようとしている。

東京農工大学の朝倉哲郎博士は30年シルクの強さを研究し、現在はカイコの糸で作った人工血管を研究している。人間の血管には強い圧力がかかるが、この人工血管はそれに耐える強さがあるという。さらにこの人工血管を使うと、徐々に体内組織と置き換わって血管が再生されたという。また、シルクのクリームの研究も進んでいて、傷口にぬると皮膚・血管・毛根まで再生して傷跡が残りにくいことがわかってきた。目尻のシワに塗るとシワも浅くなるという。長島孝行博士は「細胞になじみやすいタンパク質はあまりないと思う」「これからとてもおもしろい産業に伸びていく可能性があるはず」と語った。

ピエールがファーブルに、ライト兄弟が飛行機を完成させたと伝えた。ピエールは「ムシも空を飛ぶが、そこから何かわからないか」と疑問をファーブルに伝えた。

飛行機の原理を利用した風力発電機が世界中に急増している。風力発電は自然エネルギーの代表格だが、日本の多くの地域では平均風速が4m以下で大型の風車を回せない。この問題にも新たな光を与えてくれるムシがいる。

複雑な動きで飛べるトンボは昆虫界屈指の飛行能力を持っている。トンボの飛行を撮影すると、羽根を動かして空中で「トンボ返り」などをするほか、ほとんど風もない中でまったく羽ばたかずに滑空していることがわかった。

トンボの羽根は厚さは1000分の3ミリと極めて薄く、複雑な骨格に薄い透明な膜がついている。拡大すると羽根は不規則にデコボコしている。飛行機の翼は、風が形に沿って流れることで上部の空気が薄くなり浮く力が生まれるが、わずかな風では浮かせられないためにジェットエンジンなどで高速飛行しなければならない。トンボの羽根の空気の流れを調べると、羽根の上の谷間で渦が生まれていることがわかった。

トンボの羽根の構造を元に作った模型でさらに調べると、羽根の上部の谷間では渦が生まれ、下部の谷間は渦が生まれないため、羽根の上下で風の流れに違いが生まれていた。渦が風の動きを加速させることで速さの違いが生まれて浮く力が発生していた。

小惑星探査機“はやぶさ”にも携わっていた日本文理大学の小幡章博士は今、トンボの羽根の「デコボコ」の構造を応用した非常に弱い風で使える風車・風力発電機を開発している。小幡章博士は「こういう風車を使うと、重さもコストもケタ違いに下がる」「今の社会の問題点の一つを解決する方向」と語った。

浜松医科大学の針山孝彦博士はフナムシを研究している。針山孝彦博士は「最初は怖いと思うけど、だんだん面白いな、となって、それが続くと友達かもしれないと思うようになる」と語った。

針山孝彦博士はフナムシが「足で水を吸い上げて取り込む」ことを発見した。フナムシを撮影すると、水が足から上がってお腹に入っていることがわかった。どうやって水を上げているのか。

フナムシを調べると、自動的に水が上がる脚を持っていることがわかった。足の表面を拡大すると溝のような道があり、水が小さな隙間を伝って上がろうとする「毛細管現象」を利用していた。フナムシの脚は外側は早いスピードで水が上がり、内側はゆっくり上がる仕組みになっていて、外側の水が引っ張りあげる構造となっていて、より多くより高く水を引き上げられるようになっていた。フナムシが暮らす水際は常に波にさらわれる危険があり天敵もいるため、素早くが水を飲めるように体を適応させていった。

針山博士はフナムシのテクノロジーを利用し、工学者の石井大佑博士と「自動的に水をあげる板」を開発した。石井大佑博士は「フナムシは2cmほどしか水を上げていないが、この構造をもっとスケールアップしていくと100メートル上げられるような、エネルギーを使わずに大規模水輸送が実現できればいい」、針山博士は「第一の産業革命は18世紀頃、巨大エネルギーを使って自分たちの生活を守るためにがんばったが」「それを踏まえて、もう一度生物とは何か、生命の凄さを学んで地球環境も維持する、持続可能な第二の産業革命になっていけばいい」と語った。

キーワード
関西大学
マイクロTAS
カイコ
東京農工大学
トンボ
日本大学
日本文理大学
浜松医科大学
フナムシ
毛細管現象

エンディング (その他)
17:25~

蚊の針、カイコの糸のクリーム、エネルギー問題に新たな光を与えるトンボなど、ムシが秘めていたテクノロジーは人類の未来を着実に変えようとしている。

ファーブルはおよそ30年かけて昆虫記を書き上げた。もし少しだけ時代が違っていれば、さらに大きな発見をしていただろう。人類がようやくムシたちの脅威のテクノロジーに気づき始めた。もしかしたらあなたの身近なムシも世の中を変える驚くべき能力を秘めているかもしれない。

スポット

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