特報首都圏 広がる子どもの“生活格差”〜最新調査が明かす実態〜

『特報首都圏』(とくほうしゅとけん)は、NHK首都圏放送センターが関東甲信越地方に向けて原則毎週金曜日に放送中の地域情報番組。1984年4月から開始。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年1月21日(土) 10:55~11:25
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
10:55~

子どもの間で広がる生活の格差。家庭の外からは見えない実態を把握するための調査が進められている。熱中することや家族とのふれ合いなど、成長に必要な環境が満足に与えられていない現状が浮かび上がった。さらにそうした子どもたちは、将来に希望を持ちづらくなることが明らかになってきた。

キーワード
子どもの貧困
生活困難層

広がる子どもの“生活格差”〜最新調査が明かす実態〜 (バラエティ/情報)
10:56~

子どもたちの間で、生活の格差が広がっている。大田区の生活実態調査では、年齢にあった衣服や本が与えられない、家族旅行に行けない、習い事の経験がないなど、子どもであれば得られるべきモノや体験が、経済的理由で得られないという実態が浮かび上がった。区はこうした家庭を、「生活困難層」と新たに定義付けた。

大田区は、子どもたちの生活の実態を性格に把握しようと、「生活困難層」という新たな基準を設けた。調査では、世帯の収入や公共料金を滞納した経験などに加え、子どもの生活の中で不足している事柄を調べた。持ち物や経験などの有無を尋ね、14項目中3項目以上、経済的な理由でできないと答えた世帯を、生活困難層に含めた。その結果、過去1年間に「毎年新しい洋服・靴が買えない」と答えた親の割合は、生活困難層では15%近くに達した。「習い事ができない」という子どもの割合も、生活困難層が大きく上回った。生活困難層に該当する世帯は2割を超えた。

生活困難層の子どもは、親との関わりが少ないことも浮かび上がってきた。調査に回答した女性は、看護師として働きながら3人の子どもを1人で育てている。女性の月収は28万円で、母子世帯の手当てなども受け取っており、生活に必要な収入はあるようにみえるが、奨学金や生活費などおよそ800万円の返済を続けている。働き詰めの毎日で、子どもとの時間を取れていない。小学5年生だという女性の息子は、母親と過ごせない理由を理解していた。

調査を監修した専門家は、生活困難層の子どもたちの精神面にも注目している。「自分には価値がある」、「家族に大切にされている」、「将来が楽しみ」、などと思うかといった質問に、「思わない」と答える子どもの傾向が高い割合にあることが分かった。首都大学東京の阿部彩教授は、「生活困難層の子どもたちはずっと我慢を強いられて育っていく。その度合いは家庭の生活困難によって大きく違う」などと話した。

日々の暮らしに追われる親子をどう支えるのか。大田区にある学習支援教室では、毎週土曜日に大学生がおよそ20人の児童に勉強を教えている。収入に関わらず、希望する子どもなら誰でも通えるようにと、月2000円の授業料で運営している。さらにこの教室では、子どもたちに勉強を教えるだけでなく遊びやレジャー体験ができるようにもしている。

子どもの貧困についてスタジオトーク。東京医科歯科大学の藤原武男さんは、「教育環境は子どもの教育を受ける権利や遊ぶ権利において、それを保障する重要な要素。ここが整えられていないのは非常に苦しいと思う」などと話した。生活困難層では、「がんばれば報われる」と思わない割合が23.7%、「自分には価値がある」と思わない割合は46.8%となっている。秋元才加さんは「小さいころから親の頑張っている姿を見ていると、家庭のレベルでしか夢を見れなくなってくる。それが自己否定につながるのは悲しい」などとコメント。

藤原武男さんは、「自己肯定感を育むベースは、自分自身が大事にされていると思える気持ち。それは一般的には親が関わることで育まれるが、必ずしも親でなければいけないというわけではない」などと話した。秋元才加さんは、「人との出会いで学ぶことがたくさんある。外部からいろんな刺激を受けたり知識をもらうことはすごく良い取り組み」などと話した。

先月、教育関係者たちが東京・千代田区で開いたシンポジウム。子どもの食の格差に関する調査結果が発表された。小学生およそ1500人の食事を詳細に記録。収入が国の貧困基準以下の世帯と、基準以上の世帯を比較。調査では、野菜を食べる頻度が週3日以下と答えたのは、収入が多い世帯で11.6%だったのに対し、収入が低い世帯では21.5%を超えている。一方、インスタント麺を週1日以上食べると答えたのは、収入が多い世帯は15.9%、収入が低い世帯は26.1%だった。さらに摂取した栄養素を分析すると、炭水化物や脂質では差がない一方、たんぱく質など身体を作る栄養素には差があった。

高校2年生の息子と安定した職についていない母親。今回の調査では、収入の少ない世帯に当たる。この日の夕食はうどん。うどんだけの夕食が3日続いている。野菜や魚は高いため、安くてお腹を満たせる炭水化物に偏りがちだという。足りない分はNPOの支援に頼っている。冷凍庫には、提供されたあんぱんやパンケーキなどが並んでいる。子どもの一週間の献立は、朝はパンかおにぎり、昼は弁当を持たせているが、おかずが容易できない時には朝と同じメニューで済ませる。夕食は、うどんの他にカレーを続けて食べることもある。息子は、身体の不調を感じることが多いという。

親子を支援する川崎市のフードバンクは、個人や企業から寄付された食品を支援を求める家庭に配っている。しかし寄付の多くは保存しやすいパンや缶詰、レトルト食品など。生鮮食品は限られている。母親は、子どもの健康が将来どうなっていくのか、不安を抱えている。

子どもの食格差についてスタジオトーク。秋元才加さんは、「野菜や果物は高いため厳しいのは分かるが、本来ならば成長期にバランスの良い食事をしなければならない」などと話した。藤原武男さんは、「食生活が乱れてくるだけでなく、生活習慣全般が乱れることで子ども自身の健康が蝕まれる」などと述べた。貧困で栄養が取れないことにより、成人すると心臓病やうつ病、要介護のリスクなどが高まるという。

藤原武男さんは、子どもの食格差をなくす取り組みとして給食の無償化、保育園から調理実習を実施すること、ハサミを使って料理することなどを挙げている。藤原武男さんは、「子どもが母親のお腹に中にいる時から対策を始めるべき。特に妊娠中の栄養も大人になってからの健康状態に影響する。母子手帳など、妊娠中は行政が母親に介入できる貴重なチャンスでもあるため、行政の介入による効果が期待されている」などと話した。

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