“涙の書”〜作曲家タン・ドゥンの世界〜 2013年5月18日放送回

放送日 2013年5月18日(土) 2:05~ 3:05
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
02:05~

世界の名だたる音楽賞を受賞しロンドン交響楽団でも指揮を執るタン・ドゥン。今、彼が挑んだ曲のテーマは中国の農村で伝えられてきた摩訶不思議な文字。その文字とは女書。女性にしか読み書きができない文字。いまだに解明されていない女書には数百年前の女性たちの生き様が語られている。タン・ドゥンは女書の村を尋ねその村の音に耳を澄ませ交響曲を作る。その挑戦を追った。

水墨画:篠原貴之

キーワード
ロンドン交響楽団
タン・ドゥン
女書
篠原貴之

“涙の書”〜作曲家タン・ドゥンの世界〜 (バラエティ/情報)
02:09~

上海でタン・ドゥンの新作が発表された。各国の音楽関係者が集まり映像交響詩と名付けられたタン・ドゥンの新作が披露された。タン・ドゥンは近年、映像と上海交響楽団などオーケストラのコラボレーションに力を入れていて、そこからインスピレーションを得ることで独自の音楽世界を切り開いてきた。

去年4月、タン・ドゥンは謎の文字、女書が伝わる湖南省江永県の村を訪れた。2年前から訪れて以来なんども足を運んできた。女書はどのように育まれてきたのか知るためタン・ドゥンは村中を歩きまわる。

独特の作風で知られるタン・ドゥンの音楽。NHK交響楽団(東京オペラシティ)(サントリーホール)では紙や石を使用するなどこれまで楽器と見られなかったものを大胆に演奏に取り入れている。

タン・ドゥンは女書を新たなテーマに選んだ理由として、生まれ育った故郷の音楽をもっとよく知りたいと思ったからだと語った。タン・ドゥンは女書の博物館を訪れ、女書の文化を語った。現在女書の伝承者はわずか6人、河淵村に住む一人の伝承者はこの文字を8歳の時に祖母から教わったと話した。

女書には1000年前に一人の女性が女書を生み出したという古くから伝わる伝説がある。女書の存在が初めて公に記録されたのは1931年のこと。北京で女書の謎を追う趙麗明教授は女書は漢字が変化した文字だと考えている。また女書は400文字ですべて書き表すことができ農村の女性にとって便利な文字だったと語った。さらに女書は歌の文化でもありタン・ドゥンはこれに興味を持った。

かつて村では多くの女性が女書で自身の思いを語ったという。タン・ドゥンは消えゆく女書の世界を記録することに取り掛かった。撮影する映像は新たな交響曲の要となる。タン・ドゥンは女書には数百年に渡る母と娘の物語が記録されていると語った。

撮影後、村の女性たちは手羽先を食べると飛べるという不思議な言い伝えをタン・ドゥンに話した。それは纏足という風習にも現れていた。またこの地方では女性たちは他の村に嫁いでいかなくてはならなかった。何艶新さんはみんな結婚をいやがっていたと話した。

そこでタン・ドゥンは嫁いでいく花嫁の悲しみを映像にしようと考え、村の結婚式で歌われたという歌「哭嫁歌」の撮影を行った。花嫁には三朝書という母親などからの手紙が届けられる。そこには女書で女性の気持ちが書かれていた。

タン・ドゥンは新たな撮影の準備にとりかかる。女書の最年少の伝承者、胡欣さんが船の上で民謡を歌う姿を撮影した。

撮影を終えたタン・ドゥンはホテルの部屋で女書を見つめ交響曲の作曲に取り掛かった。そして上海のオフィスで撮影した映像を見ながら曲の構想を練った。タン・ドゥンは全楽章を見て涙ばかりで、涙がなんなのか表現できなかればこの曲は完成しないと語った。

女書の研究者、趙麗明教授とタン・ドゥンは対談し女書にはロマンと希望があったなどと語った。

湖南省江永県には女性たちが心の拠り所としていた場所がある。その花山廟という祈りの場所で多くの女性達が願い事を叶えようとやってきた。女性たちはここで女書を書き歌を歌い心を通わせた。

女書研究家の遠藤織枝さんは現地の姉妹の契り願う手紙を取材陣に見せた。姉妹の契りを川下女性たちは交流を深め刺繍などの手仕事に勤しんでいたという。しかし結婚によって別れが訪れる。村を去る花嫁の心の支えとなったのは契りを交わした友からの手紙「三朝書」だった。

タン・ドゥンは女書に書かれた女性たちの秘めた思いを最終楽章に込めようと決めた。新たな作品に2年以上の歳月をかけたタン・ドゥンは再び村を目指し、最終楽章の映像を撮り直した。そして再び女書の伝承者たちに撮影を依頼し、打楽器奏者を呼び寄せ、女性たちが日常的に使う川で撮影を行った。

撮影を終えたタン・ドゥンは、女は水であり河であり海である、水のロックンロールで女書を伝えてきた女性たちの強い精神力を表現したかったと話した。

キーワード
上海(中国)
映像交響詩
上海交響楽団
女書
江永県(中国)
NHK交響楽団
河淵村(中国)
北京(中国)
纏足

エンディング (その他)
03:02~

心の声を表現することは時代が変わっても変わることのない願い。女書は女性だけが思いを託すことの出来る文字。タン・ドゥンは女書から多くのことを学んだと語った。この世から消えようとしていた女書はタン・ドゥンの音楽に姿を変え飛び立とうとしている。交響曲「女書」は世界に先駆けて東京で初演を迎える。

キーワード
女書
  1. 5月18日 放送