総合診療医 ドクターG セレクション「手が震える」

放送日 2015年5月12日(火) 14:05~14:55
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
14:05~

レスリング部のコーチをしている高山文治さんが4日前、学生の指導をしている最中、左ひざのケガで手術を行った。しかし、手が震える症状が出て風呂に行こうとしていたはずなのに倒れるようになった。

手が震える (バラエティ/情報)
14:07~

今回のドクターG・矢野晴美先生は得意の英語力で留学しキャリアを積んできた。今では自治医科大学附属病院で若き研修医に指導を行っている。

萩本聡ら研修医を紹介。ファム・グェン・クィー先生は日本とベトナムの掛け橋になるたいと語り、萩本聡先生は地域の医療に役立ちたいと語り、空野すみれ先生は国際医療に参加したいと語った。

高山さんが手の震えを自覚したのは3日前、妻が手料理とダンベルを持ってきてくれた時に手が震えダンベルを落としてしまった。震えはすぐ治まるが入院してから震えが3,4回訪れた。2日前、右脚に力が入らない感覚で倒れる事があった。ケガをするまで練習も行う事ができ、練習中に頭を打ち付けた事はなく食事は肉をよく食べていた。1日前、上で手を降っている人が見えず頭痛も起きた。同室の男性は風呂に行こうとして何故か床に倒れてる高山さんを発見していた。

高山文治さん(35歳)の基礎データは体温38.2℃、血圧117/65、脈拍68回/分、呼吸数12回/分。これまでの症状から萩本聡先生は髄膜炎、空野すみれ先生は左半球の脳膿瘍、ファム・グェン・クィー先生は多発性硬化症と予想した。

萩本聡先生が予想する髄膜炎は脳を包む膜が炎症を起こす感染症で発熱、頭痛、吐き気、首が固くなる症状が現れ意識障害を起こす事もある。また、細菌性の髄膜炎は重症化し命に関わる事もある。

ファム・グェン・クィー先生が予想した多発性硬化症は脳や脊髄などの中枢神経が炎症により侵される病気で症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す。20代から40代に発症する事が多い。

空野すみれ先生が予想する脳膿瘍は最近などが脳内に侵入し化膿してうみがたまる病気で、発熱、頭痛、意識障害、けいれん、手足の脱力などが起きる事もある。更に右脳が右半身の運動を、右脳が左半身の運動を支配している「左右交叉」に障害が出来てると予想した。

研修医達がプロブレムリストをまとめた。右手の安静時の震え、意識障害または失神、右上下肢の脱力、発熱、視野障害、左ひざじん帯断裂、豚肉の生焼けの摂取、発作性の後頭部痛を取り上げた。ファム・グェン・クィー先生は手術に伴う発熱で説明ができると話し、萩本聡先生は視野障害が髄膜炎で起こるか分からないと話し、空野すみれ先生は右手の安静時の震え、右上下肢の脱力、視野障害でクリアできると話した。また、肉に寄生虫がいる恐れもあると考えた。

矢野晴美先生が「オッカムのかみそり」と「ヒッカムの格言」を取り上げた。オッカムのかみそりとは14世紀の神学者ウィリアム・オッカムが提唱した科学的な考え方で「すべての症状を1つの病気で説明できる」としている。一方、ヒッカムの格言は20世紀の医師ジョン・ヒッカムが新たに唱えた現代的な格言で「複数の症状が複数の病気で起きている状態」としていて、矢野晴美先生はどっちのアプローチを取り上げるか監修医に投げかけた。

高山文治さんは3年前、レスリング部で指導していた時に突然倒れた時に病院でCTを撮り脳に石灰化があると言われた。その時、練習前から頭痛があった。息子と風呂に入ってる時に背中のできものを指摘された事もあった。高山さんがその場で腕まくりをすると腕にできものが出来ていて、同じレスリングをしていた友人も同じできものができていた。

萩本聡先生と空野すみれ先生は寄生虫、ファム・グェン・クィー先生は神経梅毒と予想。萩本聡先生は皮膚に住み着く、脳にも住み着く、生焼けの豚肉を摂取した事から有鉤条虫症だと考え、空野すみれ先生も友人と食事を共にした事から友人と共通の症状が出たと考えた。ファム・グェン・クィー先生は海外渡航歴、皮膚症状、脳の石灰化から予想。梅毒は第1期は感染から3カ月まで陰部に痛みを伴わない潰瘍が出来、第2期は感染後3カ月から3年で皮膚や粘膜に様々な症状が出て、第3期は感染後3年から10年で頭痛、めまい、まひなどが起きる。そのため患者は海外に行って時間が経ってから症状が現れたと解釈。

研修医達がプロブレムリストに皮膚の腫瘍、けいれん、脳内の石灰化、睡眠障害および食欲低下なしを加えた。オッカムのかみそりの観点から空野すみれ先生は右手の震え、失神、右上下肢の脱力を「右側を中心とするけいれん」で説明がつくと考えた。発熱や靭帯断裂は関係なく海外渡航歴、生焼け肉の摂取、発作性の後部痛が残され、海外での性交渉が見られない事から梅毒は考えにくく、研修医達は全員一致で有鉤嚢虫症であると断定した。

有鉤嚢虫症はサナダムシの仲間である有鉤嚢虫の卵が体に入って起きる感染症で体内で成虫にならないが血流で皮膚・筋肉・脳などに運ばれる。皮膚のこぶ・けいれん・頭痛・視野障害などさまざまな症状を起こす事がある。アジア、南米などで多く見られる感染症で国内の患者の多くは海外渡航歴がある人で、国産の豚肉加工品で感染した事例はない。病気は薬で治療する事がある一方、皮膚症状が出ない場合もある。

矢野は、日本の外や診療していない国でも頻度が高い病気についてはしっかりトレーニングして欲しいと話し、そういった病気が流行っている場所を把握しトレーニングして欲しいと話した。

キーワード
髄膜炎
脳膿瘍
多発性硬化症
オッカムのかみそり
ヒッカムの格言
ウィリアム・オッカム
ジョン・ヒッカム
寄生虫
有鉤条虫症
神経梅毒
有鉤嚢虫症

エンディング (その他)
14:51~

田中健らが、人の命に向き合っている人たちっていろんな知識や情報も知らなければいけない、まだまだ勉強だと話した。

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