クローズアップ現代 2014年10月3日放送回

放送日 2014年10月3日(金) 0:10~ 0:36
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
00:10~

急激な円安が進んでいる。大企業を中心に業績を押し上げてきたが、その一方で原材料価格の上昇により中小企業の経営は圧迫されている。今回は、急速に進む円安について考える。

キーワード
円安

急激な円安で何が… (バラエティ/情報)
00:11~

円安が急激に進行している。この2ヶ月間で8円も円安が進んでおり、政府や経済界からも「急激に為替が動くことは日本経済にも好ましくない」という声が出ている。円安による食品や原材料の値上がりが、家庭や中小企業の経営に悪影響をもたらしている。9月の日銀短観では、大企業の景気判断は2期ぶりに改善したが中小企業については悪化している。3年前には1ドル75円台という最高値を記録したが、2年前には日本が金融緩和に踏み切るという観測から一気に円が売られた。8月下旬以降は、FRBがゼロ金利政策解除の前倒しを示唆したため、さらに円安が進んだ。

東京・練馬区のスーパーでは、円安による輸入品の値上がりが相次いでいる。アキダイの秋山社長は、「輸入ものの肉が直撃を受けた」と話した。豪産牛肉の値段は1か月で2~3割上昇。カナダ産豚肉も1割ほど値上がりした。牛の飼料の輸入価格上昇のため、牛乳も仕入れ価格が去年上がったという。円安は大手を中心に企業の業績を着実に伸ばしている。日産自動車の川口専務は、「基本的に円安は歓迎する」と話した。

円安の恩恵は、必ずしも中小企業に行き渡っていない。埼玉・川口の石川金属機工では、大手企業などに建設機械の部品を納入している。円安が進んだ2年前から原材料価格が値上がりし、厳しい経営を強いられているという。特にこの1か月で、材料の銅は3万円値上がりした。この会社では、今年度は1ドル100円を想定して経営計画を立てた。予想以上の円安によるコスト増を、価格に転嫁できないか取引先の大手企業に要望しているが、なかなか聞き入れられていない。価格転嫁を受け入れたのは全取引先の約1割、20社にとどまっている。

円安の理由は、アメリカの金融政策が大きな転換点を迎えていること。リーマン・ショック後、アメリカや日本は大規模な金融緩和を行い大量のマネーを市場に投入してきた。その後、アメリカは経済が回復し今月中に量的緩和を終える予定。さらに来年にはゼロ金利政策も解除され、金利が上昇するという観測が市場に広がっている。ドルを買うために円が売られ、一気に円安が加速した。アムンディ・ジャパンでは、円安の流れは当分続くとみている。経団連の榊原会長は、急激な円安がさらに進むことに懸念を示した。

経済産業研究所理事長の中島厚志氏と、日銀キャップの安藤記者の2人と急激な円安についてスタジオトーク。消費者物価指数は前年比で3%程度上昇が続いている。一方で実質賃金指数はマイナスが続いている。企業収益は回復しているため全体で見ると賃金は上がってきているが、企業が慎重になっているために賃上げが追いついていないという面がある。同じ製造業でも中堅や大企業は円安による利益を確保しているが、中小企業になると下請け的な業務の中で値上げが通らなくなっているのが現状。

仮に10円円安になったと仮定した場合の損益を試算した結果を紹介。上場企業の場合は全体で1.9兆円のプラスとなるが、非上場企業の場合は1.2兆円のマイナスになるという。業種別で見ると、機械・電気機器や自動車が大きな恩恵を受けるのに対し、卸・小売業やサービス業など内需の業界はマイナスの影響を受けやすい。

栃木・芳賀町にある富士セイラという機械部品メーカーは、海外に工場を積極的に展開することで円高を乗り切ってきた。売上高は年間21億円で、主力製品は家電や携帯電話などに使われる特殊なネジ。日本の工場では国内向けの付加価値の高いネジだけ生産し、他は海外での生産に切り替えてきた。中国・フィリピン・タイに工場を建設して原材料は現地で調達、海外に輸出する他に逆輸入する仕組みも拡大してきた。しかし現在は急速に円安が進行、今までの仕組みが裏目に出ている。逆輸入の部品の値段が4割も上がってしまった。高須社長は、「円安で非常に収益性が悪くなっている」と話した。

円高の時代に国内に残る選択をした静岡・浜松のソフトブレン工業を紹介。地元の大手企業向けに、楽器の防音材や断熱材などを生産してきた。前嶋社長は、取引先が次々と海外に拠点を設けていく中で、日本にとどまる道を選んだ。「いずれ円安になれば取引が回復するのではないか」と期待したが、海外に拠点を設けた取引先は円安になっても国内の生産を増やさなかったという。どうやって生き残りをはかるのか、インドネシアに生産拠点を構える行動に出た。

歴史的な円高から2年が経過し、大手企業の中には国内での生産を増やそうという動きが見られる。しかし全体として見るとその動きはまだ一部で、自動車産業大手の海外生産比率は6割~8割となっている。円安が進んだといっても、輸出の数も大幅に伸びたということもない。中島厚志氏は、「各企業が海外生産・現地販売に動いている中、それを補う新たな産業を育てること、物の輸出だけでなくサービスの輸出を強化するなどのいいチャンスとも言える。外資企業の誘致もできるし、GDP比で見ると輸出の余地はまだある」などと述べた。

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