日曜討論 相次ぐヒアリ発見 外来生物とどう向き合うか

『日曜討論』(にちようとうろん、Sunday Debate)は、NHKのテレビおよびラジオで放送される討論番組である。NHKでは戦後初期のころから、毎週日曜日に『国会討論会』『政治座談会』『経済座談会』と題した国会議員、政治関係者、財界・経済専門家をゲストに招いた番組を放送、放送時期とテーマによって題名を変えたが、1994年4月よりこれらの番組名を統合・一つにまとめ、現在のタイトルとした。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年7月23日(日) 9:00~10:00
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
09:00~

夏休みを迎え、海水浴場などが観光客で賑わっている。外で遊ぶ機会が多くなるなか、南米原産の「ヒアリ」の上陸が報じられ、警戒が強まっている。政府は20日に関係閣僚会議を開いた。これまでもセアカゴケグモ、カミツキガメなどの上陸と繁殖が報じられている。きょうのテーマは、外来生物とどう向き合うか。

BGM:「真夏のSounds Good!」

キーワード
真夏のSounds Good!
ヒアリ
セアカゴケグモ
ネッタイシマカ
アメリカザリガニ
アメリカカンザイシロアリ
クビアカツヤカミキリ
カミツキガメ

日曜討論 (ニュース)
09:01~

港などでのヒアリ発見について、経済活動に伴うコンテナの出入りによって入り込み、各地で見つかっていると紹介した。きょうのテーマは外来生物。

ヒアリの特徴と生態についておさらい。体長は2.5から6ミリ、人間が刺されるとやけどをしたような激痛となる。攻撃性と強い繁殖力を持ち、南米が原産だがこれまで北米、オーストラリアや中国などに侵入。今年になって日本でも各地の港、内陸部で見つかっている。

ヒアリに対する対策を聞く。環境省・亀澤玲治は、危険性は2000年代から指摘されており警戒していた、現在は港やコンテナの周囲の発見のみで繁殖はしていないと認識していると答えた。北海道大学・東正剛は、いったん定着されると国民の多くが刺されることになる、アメリカでは年間1400万人が刺されていると答えた。また過去にアメリカの被害について著書にまとめたが、年間死亡者数について議論が起こっているのでのちほど説明したいと述べた。

ヒアリに対する対策を聞く。国立環境研究所・五箇公一は、一度刺されると激しい痛みがある、腫れが1か月以上続くこともあると述べた。東京大学・寺山守は、繁殖力が強く定着すると駆除が困難である、水際での駆除が求められると答えた。神戸大学・黒田勝彦は、輸入品の量が多くなった現在では水際対策が困難である、貨物の多くが荷主が立ち会うまで数日以上港に置かれるという現実があると答えた。漫画家のやくみつるは日本昆虫協会の副会長でもあるといい、不謹慎だが虫について政府や専門家が動くことに楽しさを感じる、関係閣僚会議で「総理のご意向」が示されたのだからしかるべき人々に動いていただきいたいと答えた。

続いて、ヒアリが日本で広がった場合に懸念される被害について聞く。寺山守は、アメリカでは年間の被害額は5000~6000億円になる、衛生害虫としての被害や農業・畜産への被害などが挙げられると答えた。五箇公一は生態系への被害について聞かれ、ヒアリは特に人為的な造成地に繁殖しやすい、生態系よりも特に人への悪影響が大きいと答えた。東正剛は、アメリカでは年間1400万人が刺されているが死者は100人程度と命の危険は少ない、台湾では人への影響を抑える努力から現在も死者を出さずにいると答えた。

ヒアリの日本での被害予想について聞く。寺山守は、東北地方の南半分まで定着の可能性がある、日本の冬を越すこともできると答えた。五箇公一は過去に流入していた可能性もあるのではと聞かれ、本牧ふ頭や大井ふ頭では過去にもアルゼンチンアリが入り込んで定着していた、これらの対策を続けておりヒアリはこれまで見つからなかったと答えた。

亀澤玲治は今後のヒアリ対策を聞かれ、68の港湾で調査を行い発見された場合には対策する、アスファルトの亀裂が巣穴になっていることもあり国交省とも連携すると答えた。やくみつるは政府の調査にひとことと聞かれ、国による調査が可能であるかも疑問である、コンテナの検疫を入国前から行うなどの対策もできるのではと答えた。

ヒアリ対策として20日に行われた関係閣僚会議を紹介。安倍首相は、あらゆる事態を想定し対応を進めていくよう指示した。環境省、国土交通省などは、ヒアリの定住している中国・オーストラリアなどと定期航路のある68か所の港での調査の実施を検討している。オーストラリアでは2001年にヒアリが初めて確認されたが、完全な駆除には至っていない。アメリカや中国などでも被害が拡大している。ニュージーランドでは3度にわたる侵入を受けたが、発見時に半径2キロのものの移動を制限して駆除するなどの法律を設け、根絶に成功している。

日本でのヒアリ対策について聞く。亀澤玲治は、港での調査と徹底的な駆除を基本として対応すると答えた。黒田勝彦は、港で検疫をせずコンテナが長期間置かれる「保税倉庫」などの仕組みがあるかぎり根絶は不可能である、輸出国の側への働きかけも求められると述べた。東正剛は、対策をしても無駄という考えを捨てて水際対策を行うべき、港の内部のみであれば私有地と違い自由な対策ができるはずと答えた。

日本でのヒアリ対策について聞く。五箇公一は、ニュージーランドの事例では上陸と定着に対する対策が失敗している、定着後に駆除を行っていると述べ、日本で巣ができてもアルゼンチンアリの駆除の実績をもとに対応が可能であると答えた。寺山守は、定着を許す前に駆除すべきと述べ、港湾での定期検査の強化と早期発見が求められる、コンテナを早期に開けての点検などの制度も強化すべきと答えた。黒田勝彦は、貨物が港湾を離れてしまうと駆除を徹底するのは難しい、内陸部で見つかるとトレーラーの通り道に対する調査も必要となると答えた。

日本でのヒアリ対策について聞く。東正剛は、港湾でのモニタリングや駆除が大事であると述べ、巣を作るとハネアリの形態が発生して空中から逃げてしまうことがあるが、その場合でも別の場所での繁殖までに3年はかかると答えた。やくみつるは、茨城県では種類の同定を誤ったと指摘し、ヒアリを正しく見分ける専門家が少ないのも問題と答えた。五箇公一はこれに同意し、専門家が少ないことが対策のボトルネックになっている、その場でアリを採取してDNAを解析できるキットの開発を進めており1~2か月で実用化できると答えた。

日本でのヒアリ対策について聞く。亀澤玲治は政府に知見が揃っているかと聞かれ、今後も情報収集を進めていくと答えた。

続いて、一般人がヒアリ対策のためにできることを聞く。黒田勝彦は、神戸市ではヒアリを通報する電話窓口を設け、専門家への相談と派遣を可能としていると答えた。東正剛は、釧路市での発見例では民放を通じて写真が送られてきたが判別できるものではなかった、ネットでヒアリの写真が出回っていることから写真が送られただけでヒアリの繁殖と決めることもできないと述べ、各地の大学を通じてヒアリを見分ける人物を育成するなどの対策も考えられると答えた。

一般人がヒアリ対策のためにできることを聞く。亀澤玲治は、小中学校向けのポスターを作って配布していると述べ、似たようなアリを見つけても触れないこと、怪しいアリを見つけたら各地の環境事務所に届け出ることなどを呼びかけていると紹介した。地方ごとの環境事務所の連絡先を一覧で紹介した。

一般人がヒアリ対策のためにできることを聞く。やくみつるは、専門家が少なく「過重労働」が懸念される、不正確な通報もあり「冤罪被害」も増えるのではと答えた。

日本のその他の外来生物を紹介。セアカゴケグモはオーストラリアを原産とし、1995年に国内で初めて確認された。他には家の柱などを食い荒らすアメリカカンザイシロアリ、デング熱などを運ぶネッタイシマカ、繁殖力の高いカミツキガメなどがある。2005年に外来生物法が施行され、危険な動植物を「特定外来生物」に指定し、輸入や飼育、野外に放つことを禁じている。シロアリなど指定が見送られた外来生物もある。

日本の外来生物対策について聞く。亀澤玲治は「特定外来生物」にシロアリやカの一部が含まれないことについて聞かれ、法律では「生態系、人の生命や身体、農作物など」を被害の対象としている、人体に毒や重傷を負わせるものは確実に指定される、ネッタイシマカはデング熱の媒体として「感染予防法」で駆除の対象となる、シロアリは在来種と同様に建築基準法によって規制されると答えた。経済活動への影響から指定できないこともあるのではとの問いには、法令に従って指定されるものと理解していると答えた。

日本の外来生物対策について聞く。寺山守は、外来生物の規制はヒトの理想の生活環境があって相対的に決まるものである、昔ながらの日本の生活を守るという観点からはもう少し規制を厳しくするべきではと答えた。五箇公一は、外来種を日本で生存させるべきかに統一見解がないことが法による規制を困難にしていると答えた。黒田勝彦は、輸入されるコンテナには荷主のほかに荷受け人などのステークホルダーが絡む、コンテナ内に殺虫剤などを仕掛ける場合には合意形成が必要となると答えた。亀澤玲治は、ほかに生物多様性条約の枠組みなどが海外での殺虫行為を困難にしている、中国など個別の国に対しては交渉を進めていくと述べた。

やくみつるは中国との交渉について聞かれ、「かの国」がそれほど融通が利くか疑問、見える形での報道を望むなどと答えた。

日本の外来生物対策について聞く。東正剛は、乱暴な言い方であるが日本は島国でありヒトを含めすべての生物は海を渡ってきたものであると述べ、外来生物の中には生態系に重要な役割を得たものもある、特定外来生物の指定を見直すことも必要と答えた。五箇公一は、現代では物流の拡大により外来種の流入のリスクが高まっていると述べ、自然環境の中での外来種の折り合いとは別の問題が生まれていると答えた。寺山守は外来生物に寛容にとの意見に首を傾げていたと振られ、日本の生態系が崩れる危険性を危惧している、他にもペットとして持ち込まれたアライグマなどが野生化して危険生物になる例もあると答えた。

日本の外来生物対策について聞く。黒田勝彦は今後の法規制の可能性について聞かれ、生産の拠点が中国から東南アジア・インド・アフリカに移りつつある、グローバル化に伴い物流による外来種の流入が避けられなくなると答えた。神戸港のヒアリの具体例については、コンテナの爪が港のコンクリートに穴を開けてアリの流入につながった、国土交通省が再舗装や鉄板の設置を進めていると述べた。

最後に、今後の外来生物との向き合い方について聞く。やくみつるは、日本には「拙速を避ける」風潮があるがこの問題に限っては空振りでも動き続ける必要がある、虫マニアとして昆虫が注目されていることに喜びを感じていると述べた。

今後の外来生物との向き合い方について聞く。黒田勝彦は、かつては船の「バラスト水」が未処理で捨てられ微生物の拡散の原因となっていた、IMOが中心になって処理を徹底させたと述べ、ヒアリ対策などについても合意の形成は可能と述べた。寺山守は、地域の固有性を守るという観点から外来生物対策を見直すべきと述べた。五箇公一は、ヒアリは危険性から注目されたが他にも外来生物は増えていくと述べ、グローバル化により生態系や文化が失われるという観点からの対策の見直しが求められると答えた。

今後の外来生物との向き合い方について聞く。東正剛は、ヒアリに対するDNA検査がまもなく実用化されるという発言を取り上げ、生物学の進歩に期待したい、水際対策がこれらの研究に必要な時間を稼ぐことにもつながると答えた。亀澤玲治は政府の方針を聞かれ、侵入のリスクが常にあることを念頭に早期発見・早期防除に努めると答えた。

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