日曜討論 日EU EPA・“米抜き”TPP 激動の世界 通商戦略を問う

『日曜討論』(にちようとうろん、Sunday Debate)は、NHKのテレビおよびラジオで放送される討論番組である。NHKでは戦後初期のころから、毎週日曜日に『国会討論会』『政治座談会』『経済座談会』と題した国会議員、政治関係者、財界・経済専門家をゲストに招いた番組を放送、放送時期とテーマによって題名を変えたが、1994年4月よりこれらの番組名を統合・一つにまとめ、現在のタイトルとした。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年7月16日(日) 9:00~10:00
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
09:00~

きょうのテーマは、ワイン、チーズ、パスタ、チョコレートなどの価格に関連する話題。日本とEUが今月6日、経済連携協定(EPA)の締結で大枠合意した。EUからの輸入関税の9割を撤廃し、これらの価格が安くなると期待されている。安倍首相のコメントを紹介した。TPPについても、アメリカ抜きでの発効を目指して協議が進んでいる。

キーワード
EU
EPA
TPP
安倍首相

日曜討論 (バラエティ/情報)
09:01~

きょうのテーマをスタジオから紹介。日本とEUの経済連携協定(EPA)締結合意と関税撤廃については、農家の一部から不安の声もあると紹介した。TPPなどについては、アメリカと中国といった大国を見据えた日本の通商戦略が問われると紹介した。

大型の貿易協定は「メガFTA」と呼ばれ、日本とEUの間のEPAの他にも、日本とアメリカを含むTPP、日本と中国を含むRCEPなど、様々な枠組みが検討されている。EUとの合意では、日本からの輸出では日本酒や緑茶で関税を即時撤廃、乗用車は7年後に撤廃などで合意。日本への輸入ではワインが関税即時撤廃、パスタやチョコレートを10年後に撤廃、チーズは一定の枠を設けて15年で撤廃などとなっている。発効時期についてはEU側が2019年を目指すとしているが、日本は期限を決めず早期発効を目指すとしている。

日本とEUのEPA合意について聞く。学習院大学・伊藤元重は、TPPの発効が進まない中で目に見える成果といえるなどと答えた。大枠合意が「大筋」とは異なるとの指摘については、企業の紛争解決の枠組みなど合意できていない部分がある、これらを外しての合意となる可能性があると答えた。明治大学・作山巧は、自分が交渉準備をしていた時には自動車の輸出で反発があった、企業の紛争解決については「ISDS条項」で日本がTPPレベルの合意を求め、EU側が市民団体らの反発を元に拒否していると答えた。大枠合意という言葉についても、本当は合意していない、政治的な意味で合意という言葉を使いたかったとみえると述べた。

日本とEUのEPA合意について聞く。ニッセイ基礎研究所・伊藤さゆりは、関税がEUの有利な状況にありEUはEPAに積極的でなかった、イギリスがEU離脱を選んだことやアメリカの保護主義への懸念から合意に傾いたのではと答えた。京都大学大学院・柴山桂太は、公開されている情報が少なく評価は難しい、メガFTAが問題を引き起こしているという側面もあると答えた。

日本とEUのEPA合意について聞く。慶應義塾大学・中山俊宏は、日本とEUの間の戦略的パートナーシップが結ばれたことに意味があると指摘し、背景にトランプ大統領の保護主義などに対する問題意識があると述べた。富士通総研・柯隆は中国への影響を聞かれ、中国は現代版シルクロード・一帯一路を推進する立場から注視していると答えた。

日本とEUのEPA合意について聞く。作山巧は日本が合意を急いだという見方について聞かれ、日本はTPPを推進していたがアメリカが離脱を表明した、EUはイギリスが離脱を表明したことから、双方が悪い流れを断ち切りたいとの利害が一致したと答えた。伊藤元重は、過去の貿易摩擦においても政治的意味合いをもった駆け引きがみられたと答えた。

日本とEUのEPA合意について聞く。伊藤さゆりは経済への影響を聞かれ、日本は自動車の関税が不利益となっていた、自動車部品については現地生産が進んでおり関税即時撤廃の効果が大きいと答えた。輸入品についても、消費者の選択の幅が広がると答えた。作山巧は、関税撤廃によるGDPへの影響は限定的であると指摘し、EUから日本への輸出が多くない品目の関税が守られてしまったところもあり交渉がうまくないといえると答えた。伊藤元重は、政府の分析は輸出入と関税の額面のみをとらえたものであり、協定の締結による動的な経済効果としてのGDPの上昇はそれ以上になると答えた。

日本とEUのEPA合意について聞く。柴山桂太は、いわゆるメガFTAに共通してデメリットが存在すると述べ、輸出入の均衡が崩れることで格差の拡大が起こると指摘した。伊藤元重は政府の取り組みが検討されていると聞かれ、関税以外にも生産者補償など生産者を守る制度が考えられる、格差の問題を含めた対応が問われると答えた。柴山桂太は、補助金程度では解決しないほど問題が拡大する危険があると反論した。

日本とEUのEPA合意について聞く。作山巧は、TPP交渉と並行して日本で生産者補償などの法整備が進んでいると指摘し、例えばチーズ農家への補償金はTPP合意が遠のいて減額されたという問題がある、これらの制度をTPPと切り離して運用する必要があると答えた。

日本とEUのEPA合意について聞く。続いて伊藤さゆりはイギリスのEU離脱が日本に影響するのではと聞かれ、日本はイギリスに自動車部品などの工場を多く持っており、離脱の形態によって日本の受ける利益が異なる、例えば関税同盟を継続するのであれば日本企業には有利となると答えた。中山俊宏はアメリカに与える影響について聞かれ、トランプ大統領には体系的な戦略があるとはいえず、政権の保護主義的発想を変えるのは難しいと答えた。柯隆は中国への影響について聞かれ、先に日本国内について関税撤廃は日本の消費者には確実にプラスとなる、生産者は輸出拡大をチャンスとしてとらえるべきと述べた後、中国については日中韓FTA締結の動きがあり、日本とEUとの間の合意レベルも考慮することになると答えた。伊藤元重は、東アジアをまとめるTPPの合意が止まった状態にあり、これらを動かすことにつなげることが期待されると答えた。

続いて、TPPを含む日本の通商戦略について考える。アメリカを含むTPPはアメリカの離脱表明により発効の見通しが立たなくなり、アメリカを除いた「TPP11」を目指し高級事務レベル会合が行われた。

TPPと「TPP11」を含む日本の通商戦略について聞く。伊藤元重は、日本を含む11か国の合意を最大限に活用したいという思惑がある、アメリカに対しても今後意見を変えるかもしれないとの期待があると答えた。作山巧は、日本はアメリカから2国間協議を求められており注意をそらす狙いがある、他国にはアメリカの市場への参入を狙っていたことから参加に否定的な国もある、中国を中心とする「RCEP」の方が魅力的とみられていると答えた。中山俊宏は、アメリカはもう一度TPPに戻るのは難しいという考えだが、「TPP11」に対しては妨害しないという考えを示しているとみられると答えた。

TPPと「TPP11」を含む日本の通商戦略について聞く。柯隆は、アメリカ国内の世論は必ずしもTPPに否定的ではないと指摘し、中国は「一帯一路」を推進しているがアメリカなどからは国有企業の取り扱いなどに懸念がある、TPPがこれらの規範となる可能性があると答えた。柴山桂太は、経済のグローバル化に向けた動きは過去に何度もあったが失敗していると述べ、アメリカ国内には格差拡大に反発する世論が一定数あり保護主義はなくならないと答えた。

続いて、日米の貿易関係を考える。8日の首脳会談では、トランプ大統領が再び対日貿易赤字のふくらみを指摘し、是正を要求した。安倍首相はこれに対し、年内にも日米経済対話を開き議論していきたいと答えている。アメリカは日本との2国間協議、FTAの締結に意欲を示している。

日米の貿易関係の行方について聞く。中山俊宏は、トランプ大統領は多国間協議に対する不信感があると指摘し、日米経済対話については議題がまだ詰められていない、アメリカ側の閣僚がまだ固まっていないのも問題と答えた。作山巧は、過去の2国間交渉は厳しいものだったため避ける必要がある、交渉は互いに譲り合うというレベルでなく一方的な要求となる可能性が高いと答えた。伊藤さゆりは、アメリカの企業においても多国籍化は進んでおり、アメリカ政府が経済の自由化を拒否すればアメリカ企業や国民に対しても不利益となると答えた。

アメリカには他にも、大統領権限による中国などの安い鉄鋼の輸入制限を検討するなど、国際経済のルールによらない対応が生まれつつあり懸念されている。中山俊宏は、アメリカ政府内では経済のグローバル化を求める勢力が弱い、保護主義を求める声はトランプ大統領の支持者に特に多く今後も難しい局面が続くと答えた。柯隆は中国の受け止めを聞かれ、中国にとってはアメリカの鉄鋼輸出は全体の2%ほどであり影響は少ない、アメリカからの要求では農産物の輸入などが拡大する見込みで日本への影響が懸念されると答えた。

アメリカの保護主義的動きについて聞く。伊藤元重は、アメリカとの交渉を拒んで暴走されるとさらなる損害となる可能性もあると述べ、協議の場を維持する必要があると答えた。

続いて中国は「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)を主導し、経済圏の確立を目指している。日本も参加しているが、中国とインドが含まれることから含まれる人口は34億人と圧倒的となる。中国には他にも「一帯一路」という、アジアとヨーロッパを結ぶ経済圏を構想している。8日の日中首脳会談では、地域や世界の安定と繁栄に向けて議論していくことで一致し、これには一帯一路も含めた。

中国の通商戦略について聞く。柯隆は「一帯一路」について、外国と結ぶ合意ではなく中国が諸国にインフラを建設し経済圏を掌握するといった構想全体を指すと述べ、中国当局はRCEPよりもこちらに重点を置いていると答えた。また巨額の外貨準備金を利用した「AIIB」などがこれの原動力となると述べた。日本に対しては企業の技術力に期待していると述べ、技術移転を狙った日中関係改善などを模索していると答えた。

中国の通商戦略について聞く。作山巧は、中国はTPP交渉の期間中にAIIB、一帯一路といった経済連携の動きを活発化させていた、アメリカのTPP離脱表明後は停滞していると指摘し、中国にとっては日本がAIIBに加入することが外交上の大きなカードとなる、これと引き換えに日本がRCEPの主導権を握るような交渉が求められると答えた。伊藤さゆりは、EUは中国に対して市場や投資対象としての評価をしているが警戒もしていると述べ、サポートはするが価値観が相容れなければ修正を求めるという姿勢が必要と答えた。柴山桂太は、一帯一路政策などを推進する背景には中国国内の経済の失速がある、国内経済の行き詰まりのはけ口となっていると指摘し、RCEPについては中国の他にインドやアジア諸国も参加しており、高いレベルの合意は難しいと答えた。

中国の通商戦略について聞く。伊藤元重は、一帯一路については海路の整備などでインドなどの反発が予想される、RCEPについてはACEAN諸国がすでにまとまっており残りは日中韓の合意が主となると答えた。

最後に、今後の日本に求められる通商戦略について聞く。中山俊宏は、中国には地政学的野心が認められ警戒すべきと答えた。柯隆は、日本はグローバル化を主導する力があり自信を持つべき、交渉には一定の戦略が求められると答えた。柴山桂太は、グローバル化に対しては日本国内の地方経済に負の影響が高まる懸念があると述べた。

今後の日本に求められる通商戦略について聞く。伊藤さゆりは、日本はグローバル化を牽引すべきであるが他の側面も考慮すべき、技術革新なども相まって格差が拡大する懸念があり対策が求められると答えた。作山巧は、交渉の前には国内の意見をまとめる必要があると述べ、例えば日本とEUのEPA合意文書を見てもEU側は透明性をアピールすることで加盟国の理解を得ようとしていると答えた。伊藤元重は、グローバル化はいったん旗を降ろすと経済が一気に停滞する問題があると述べ、日本はこれを主導する側としてひとつずつ協定交渉を成功させていく使命があると述べた。

伊藤さゆりは今後の交渉について聞かれ、日本にはグローバルな通商体系を定めるという気概が求められると答えた。伊藤元重は交渉について聞かれ、EUには各国の政治的変化もあり日本は早期の取りまとめを狙っている、国内の補償などの対応も求められると答えた。作山巧は、交渉は実質的に合意に至っていないと指摘し、情報公開を行いながらの交渉が求められると答えた。伊藤元重がこの点を聞かれ、国民の合意が得られるよう配慮が求められると述べた。

番組HP・Twitter、NHKオンデマンドの案内。

キーワード
EU
EPA
TPP
RCEP
ISDS条項
トランプ大統領
一帯一路
イギリス
アメリカ
FTA
日中韓FTA
TPP11
安倍首相
日米経済対話
自由貿易
保護主義
東アジア地域包括的経済連携
AIIB
日曜討論
NHKオンデマンド

スポット

この番組で紹介されたアイテムは登録されていません。
  1. 前回の放送
  2. 7月16日 放送
  3. 次回の放送