日曜討論 賛成?反対? 激論“テロ等準備罪”

『日曜討論』(にちようとうろん、Sunday Debate)は、NHKのテレビおよびラジオで放送される討論番組である。NHKでは戦後初期のころから、毎週日曜日に『国会討論会』『政治座談会』『経済座談会』と題した国会議員、政治関係者、財界・経済専門家をゲストに招いた番組を放送、放送時期とテーマによって題名を変えたが、1994年4月よりこれらの番組名を統合・一つにまとめ、現在のタイトルとした。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年5月28日(日) 9:00~10:00
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
09:00~

後半国会の焦点として、テロ等準備罪を新設する法案が争われている。先週衆議院本会議で修正の上可決され、参議院に送られた。与野党議員の声を紹介した。世論調査では法案に賛成・反対が拮抗、「どちらともいえない」が多数となった。番組では賛成・反対の3人ずつを招いて討論する。

キーワード
テロ等準備罪
金田法相
蓮舫代表

日曜討論 (ニュース)
09:01~

「テロ等準備罪」を新設する法案が衆議院本会議で可決、参議院で審議入りした。番組では賛成派・反対派3人ずつを招いた。

「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する法案についてまとめる。対象が組織的犯罪集団であること、重大な犯罪を計画し準備行為があったことを条件とし、計画した全員を処罰の対象とする。

討論する6人には賛成・反対の理由を事前に書いてもらった。中央大学大学院・井田良は賛成、理由は「社会の変化に応じて刑法も変わるべき」。犯罪を未然に防ぐ仕組みが必要であると述べた。京都大学大学院・高山佳奈子は反対、理由は「テロに適用されない」。他にもテロの未遂を幅広く処罰する法律が整備されている、テロを目的としたものではないと述べた。

弁護士の木村圭二郎は賛成、理由は「国際標準としての組織犯罪対策」。条約に批准することで外交ルート以外からも能動的に犯罪対策の情報が集められるようになる、日本で奪われ海外で没収された資金が返還されるといったメリットもあると答えた。弁護士の山下幸夫は反対、理由は「捜査機関による監視国家化が進む」。捜査の早期化が進むことで一般市民を対象にした監視が日常的に行われることになると答えた。

作家の門田隆将は賛成、理由は「国民の命と財産を守るために」。テロは世界各地で現在進行形で発生しており、国家として未然に防ぐ責任があると述べた。ジャーナリストの江川紹子は反対、理由は「遅効性の毒」。施行されれば次第に監視社会化が進むこととなると答えた。

テロ等準備罪の新設が必要として政府が挙げている、現行法で対処できないケースを紹介。飛行機の乗っ取りのために航空機のチケットを予約する、化学薬品による大量殺人のために原料を入手するといった準備行為でも罰せられるようにすべきと主張しているが、民進党などは現行法で対処できると主張している。政府はまた根拠として「TOC条約」の締結のために法律が必要としているが、民進党などは現状のままでも締結可能としている。

テロ等準備罪とTOC条約の関係について聞く。木村圭二郎は、条約では懲役4年以上の犯罪すべてについて共謀罪を定めるべきとしている、当初の法案ではこれに基づいて676の罪名を対象としたと解説した。ただし条約にはオプション規定があり、組織犯罪のみを対象とする、準備行為を条件とすることも認められており、今回の法案は最低限のものであるという。山下幸夫は、法律については各国が自主的に判断して整備すればよい、日本ではすでにいくつかの犯罪について予備罪が定められていると答えた。

テロ等準備罪とTOC条約の関係について聞く。門田隆将は法整備は条約に必要との考えで、民進党は民主党政権時代に条約を批准しなかったと答えた。江川紹子は、専門家によって意見が違う、外務省の提示した条約文にも誤訳があるとの指摘もあると答えた。井田良は、条約の趣旨は準備の処罰されない国を作らないことにあると答えた。高山佳奈子は、日本には準備罪や共謀・共同正犯、未遂罪や危険犯などの規定があり、条約のために新たに法整備を行う必要はないと答えた。

続いて、テロ等準備罪のテロ対策への効果について聞く。山下幸夫は、東京五輪招致では日本は安全な国と主張している、日本はTOC条約以外の13の条約に批准し必要な法整備を行っていると答えた。木村圭二郎は法案の絞り込みが今国会で初めて行われたと聞かれ、政府は組織犯罪を対象として絞り込みを行ったと説明した。江川紹子は、例えば地下鉄サリン事件は共謀罪があっても防げなかった、過去の事件から教訓を学ぶ方が大切と答えた。

テロ等準備罪のテロ対策への効果について聞く。門田隆将は、地下鉄サリン事件の例であれば構成員が事前に匿名の告発をしており、その時点で団体全体を処罰することが可能だったと答えた。江川紹子は、告発は殺人事件の後に行われたと反論した。門田隆将は、その後のテロを防げた可能性もあったと答えた。

テロ等準備罪のテロ対策への効果について聞く。高山佳奈子は、政府の挙げた事例はテロ資金提供処罰法で処罰できる、法案はテロについて明記していないと答えた。井田良は、テロ対策に特効薬はなく、少しでも未然に防ぐ可能性を高める法整備をすべきと述べた。

続いて、一般の人が監視されるなどの影響について考える。民進党などは、捜査機関の恣意的な判断で捜査の対象になりうると批判している。安倍首相は、対象を組織的犯罪集団に限定していると説明している。ほかに野党は憲法に保障された内心の自由を侵害すると指摘しているが、金田法相は準備行為などを処罰の条件とすることでこれにあたらないと述べている。

「テロ等準備罪」の一般の人への影響について聞く。井田良は、法案は組織犯罪処罰法を改正するものであり、改正前の法律も改正後も一般人への捜査を行うものではないと答えた。具体的には目的のための指揮命令系統があること、多数の構成員による反復的な行動がみられることなどの条件があり、犯罪と関わりのない一般人が含まれることはないと述べた。山下幸夫は、威力業務妨害罪などは一般人が対象となりうる、一般の団体が認定されうると反論した。門田隆将は、一般人は捜査に協力して自らの無実を主張すべきと述べた。山下幸夫は、監視や尾行を受ける懸念が生じると述べた。門田隆将は反論を聞かれ、疑われたのなら捜査に協力して無実を主張すればよいと答えた。

「テロ等準備罪」の一般の人への影響について聞く。江川紹子は、例えばオウム事件では宗教団体と犯罪集団の線引きが議論されていなかったと指摘し、政府の説明が非現実的であることも問題と述べた。木村圭二郎は、犯罪の数が多いという懸念については主体を組織的犯罪集団に絞ることで適用が限定される、犯罪を主目的とする集団に一般人が関わる可能性は極めて低いと答えた。高山佳奈子は、テロに関係のない犯罪類型が多く含まれている、著作権なども対象となっており拡大解釈の危険があると述べた。木村圭二郎が反論を聞かれ、捜査機関は重大犯罪に対してしか捜査を行わないと述べた。江川紹子は、それではオウム事件のようなものは防ぐことはできないと反論した。門田隆将は、構成員の大部分はテロとは無関係であり除かれると述べた。

「テロ等準備罪」が内心の自由を侵すとの指摘について聞く。井田良は、殺人や傷害致死といった事件につながる捜査は必要なものである、一般生活における内心の自由に踏み込むものではないと答えた。高山佳奈子は、これまでの刑法では危険なものや手段が登場して初めて処罰された、例えば弁護士の集団が犯罪の手口を話し合って通報される可能性もあり危険と答えた。木村圭二郎は、すでに共謀罪は一部の犯罪に対して成立している、犯罪集団の内心の自由は憲法の保障の範囲外と考えるべきと答えた。山下幸夫は、目配せだけでも共謀罪は成立する、判断の主体は捜査機関にあり恣意的に運用される可能性があると述べた。井田良は、現在の共謀・共同正犯はすでに起きた犯罪に対するものであり立証が容易である、捜査権の乱用が起こるとは考えにくいと答えた。

「テロ等準備罪」が内心の自由を侵すとの指摘について聞く。門田隆将は、個人が考えるだけでは罪にならず、団体に所属して準備行為を行って初めて処罰されることから、内心の自由を侵すことにならないと答えた。江川紹子は、集団の構成員を疑われ家宅捜索されるなどの危険が増えるのは問題である、捜査のために報道が乱用されるなどの危険もあると答えた。

続いて、テロ等準備罪が捜査権の乱用につながるとの指摘について聞く。木村圭二郎は、捜査の手法を広げるなどの規定はなく、捜査はこれまで通りの手段で行われると答えた。高山佳奈子は、冤罪や人権侵害にあたる事件は年に数件発生している、これらが増える可能性があると述べた。門田隆将は、法律は手続き法でなく実体法であるとの指摘に同意し、捜査の形態が変わるとの懸念にはあたらないと答えた。江川紹子は、事件をでっち上げる、証拠を改ざんする警察官も存在すると指摘し、問題が発生しうることを前提に検討すべき、司法が歯止めとなるとの指摘も礼状や捜索の却下率が極めて低いことから望めないと答えた。

テロ等準備罪が捜査権の乱用につながるとの指摘について聞く。井田良は、捜査の大部分は適正に行われている、人権侵害に対するブレーキも機能していると答えた。山下幸夫は、処罰や捜査が早期化され懸念がある、捜査機関がこれを利用して早くから任意捜査を行うことが大いに考えられると述べた。捜査・取り調べの可視化が盛り込まれたと聞くと、任意捜査等はこの歯止めを受けないと答えた。木村圭二郎は、警察が悪事を働くとの前提で論じるべきではない、治安維持法であるとの指摘にはあたらないと述べた。高山佳奈子は、国連の指摘に対して日本政府が反論せずに抗議をした、国際的な問題になっていると述べた。木村圭二郎は、国連担当者の指摘は誤訳に基づくものであったと反論した。

最後に、テロ等準備罪の国会審議に望むことを聞く。江川紹子は、法律が現実社会に適用されることを念頭に現実に即した審議をすべき、一般人の巻き込みにも配慮すべきと答えた。門田隆将は、衆議院では議論が揚げ足取りに終始していたことを反省すべきと述べた。山下幸夫は、時間をかけて審議して国民の懸念に応えるものにすべきと答えた。木村圭二郎は、対象が組織的犯罪集団に限定されることなどを正しく説明すべき、野党が政争の具にすることも避けるべきと述べた。

テロ等準備罪の国会審議に望むことを聞く。高山佳奈子は、対象犯罪の選び方が恣意的であると指摘し、線引きについて国会で議論すべきと述べた。井田良は、刑罰法規に一定のリスクがあるのは当然のことである、極論に引きずられることのない議論に期待したいと答えた。

テロ等準備罪に反対する高山佳奈子に、さらに一言聞いた。国連職員への誤った対応などは日本の信用を損ねることにもなる、人権侵害を行う国とみなされれば拉致問題等の解決も遠のくと批判した。井田良は政府に求められる対応を聞かれ、日本の規定は諸外国に比べて限定されている、法改正によるリスクは杞憂と呼べる程度であると答えた。

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