プロフェッショナル 仕事の流儀 過労死と闘い、命を守る〜弁護士・川人博〜

『プロフェッショナル 仕事の流儀』(-しごとのりゅうぎ)は、2006年1月10日に放送が開始されたNHK総合テレビジョンの情報・ドキュメンタリー番組である。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年11月20日(月) 22:25~23:15
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
22:25~

電通の新入社員の女性は入社から8ヶ月で命を絶った。女性の母親は会社に真相を尋ねると仕事が理由ではないとされた。そこで頼ったのが過労死の闇に30年以上挑んできた弁護士。その弁護士は地道かつ徹底調査で真相に迫る。女性の死は労働災害と認定され、先月電通は労働基準法違反で有罪判決を受けた。その弁護士の有罪認定率は全国平均のほぼ2倍である。その弁護士には期待に応えられない痛恨の日々があった。今回新たなにオリンピックの影で命が失われた。

主題歌 kokua「Progress」

今深刻となっている過労死、NHKにとっても課題である。11月8日、過労死等防止対策推進シンポジウムが開かれた。4年前に亡くなり過労死と認定されたNHK記者・佐戸未和さんの母・佐戸恵美子さんが登壇した。佐戸記者は2005年に入局し、北朝鮮拉致問題の取材などで活躍した。どんなときも弱い人の立場に立って取材するスタンスで福祉・教育などの問題に向き合っていた。だが31歳の夏、心不全でこの世を去った。都議会議員選挙、参議院選挙が続いていた。2014年5月に過労死認定された。だが今も両親の悲しみが癒えることはない。今回は過労死問題に取り組んできた弁護士に密着した。

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参議院選挙
労働基準監督署
中央区(東京)
心不全

過労死と闘い、命を守る 弁護士 川人博 (バラエティ/情報)
22:33~

電通の新入社員の女性は入社から8ヶ月で命を絶った。女性の母親は会社に真相を尋ねると仕事が理由ではないとされた。そこで頼ったのが過労死の闇に30年以上挑んできた弁護士。その弁護士は地道かつ徹底調査で真相に迫る。女性の死は労働災害と認定され、先月電通は労働基準法違反で有罪判決を受けた。その弁護士の有罪認定率は全国平均のほぼ2倍である。その弁護士には期待に応えられない痛恨の日々があった。今回新たなにオリンピックの影で命が失われた。

主題歌 kokua「Progress」

東京・本郷にある小さな弁護士事務所。所属する弁護士は川人博ひとり。抱える案件は機密性の高いものばかり。この日1人の依頼者が撮影に応じてくれた。息子の幸信さんは大学院を卒業後に東京などでシステムエンジニアとして働いていたが、うつ状態となり去年自ら命を経った。この半年、川人たちが調査した結果、上司のパワハラに加え長時間労働の実態が明らかになった。一般的に過労死ラインとされるのが80~100時間の残業だが、幸信さんは優に超えていた。労働災害は遺族が労働基準監督署に申請。認められれば国から補償金が支給される。今回認定に必要なのは業務と自殺。その因果関係の立証。自殺の引き金となった精神疾患を発症する前の6か月の勤務実態。心理的負荷が”強”とみなされれば労災と認定される。しかし立証は難しく労災認定を得られるのは全体の4割程度。

川人たちは労災の認定のため、労基署に出向いた。集めた証拠は74点に及んだ。幸信さんの追い詰められた精神状態を立証するためメールも提出した。労災と認定されれば遺族は補償金を得ることが出来る。だが大切なことはそれだけではないと川人は考える。

川人博は過労死問題の第一人者で、労災認定率は全国平均のほぼ2倍。実績を支えるのが地道かつ徹底した調査。システムエンジニアだった西垣和哉さんは過労の末、27歳の若さで亡くなった。入社2年目で担当した過酷なプログラム開発でうつ状態になり2年後、薬を大量に飲みこの世を去った。母・迪世さん「なぜこんなことになったのが合点がいかなかった」と話す。国に労災を申請したが十分な証拠が無いと棄却された。この時西垣さんの相談に乗っていたのが川人弁護士だった。棄却の決定を覆すには国を相手に裁判に勝つしかなく、川人は会社の隠蔽工作を防ぐため証拠保全の手続きを取っていた。月120時間を超える長時間労働の実態が見えてきた。社内報には労働環境が最悪な実態を伝える生々しい声が記されており、作業場の空気環境測定報告書には二酸化炭素の量が基準値を大幅に上回っていた。すし詰めの異様な職場環境が見えてきた。さらに和哉さんの同僚が法廷での証言に応じた。川人は証言に出てくるパイプ椅子で仮眠する様子を同僚に再現させ法廷に伝えた。

提訴から2年、和哉の死は労災と認定された。その後和解交渉を行い会社は再発防止に取り組むことを約束した。川人は「自分が亡くなられた人と同じような状況で動いているというか、亡くなった方の心境みたいなものが自然な形で自分の中に入ってくる」と説明した。母・迪世さんは「息子と私が本当にお世話になった先生だと思います。こんなことは私だけで十分だと、このことは繰り返されてはならない」と語った。

東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場。その地盤工事を行っていた現場監督の男性が自殺した。川人の調査では月200時間を超える時間外労働を行いうつ病などの精神疾患を発症した。今年3月、突然疾走し命を絶った。川人は遺族から相談を受け労災を申請。認定は堅いと考えていたがある懸念を抱いていた。川人は「彼が亡くなってから、もう数ヶ月経ってる訳だけど基本的な改善の見直しが図られた情報は入ってきていない」と話す。

2日後、川人は厚生労働省で会見を開いた。労災と認定されない段階で事件を公表するのは極めて異例のことだった。翌日事件は大きく報じられた。厚生労働大臣・塩崎恭久は会見で「こういうことが二度と起きないようにしていきたい」と述べた。10日後、建設業界で自主的な基準を設けて対策を取ることを発表した。

休日、川人は行きつけの喫茶店に出かけ一杯のコーヒーを飲み見ながら「自分の時間を作るというのは長い目で見ると、今自分がやっている仕事にも重要な影響を与えてくれると思う。休息をとるということ、そういう時間を通じて何か新しい着想が生まれる」と語った。川人博は1949年大阪に生まれ、父は近所でも評判の熱心な開業医だった。幼少期、往診先に連れて行かれた川人は「お金がもらうことのみが目的の仕事というのは自分の人生の選択肢の中から排除されていた感じがする」と振り返る。18歳で東京大学に進学し司法試験に合格。まだ過労死という言葉があまり知られていなかった時代、川人は「過労死110番」という活動に参加。しかし過労死に対する国の認定基準は厳しく、当時の労災認定率は5%前後だった。30人いた仲間の弁護士は減り続けたが川人は踏みとどまった。川人の呼びかけで企業への訴訟が各地で始まり、徐々に企業へ責任を認めされる例が出始めた。バブル崩壊と共に過労自殺という問題が浮かび上がった。しかし自殺はあくまで個人の責任だとして過労死とは認められなかった。

当時、電通に勤務していた大嶋一郎さんが長時間労働の末、うつ病にかかり死亡した。最高裁に乗り込んだ川人は「これは1人の事件ではなく一家族の事件ではなく、働く者の命がかかっている裁判」と伝え完全勝訴した。翌年厚労省は労災の認定基準を大幅に緩和し、労災の認定率は20%を超えた。

過労死という社会の闇に挑み続けて30年、それでも痛ましい事件は耐えない。小学校教員になって1年目の後藤知子さんは過酷な現場に心をすり減らし命を絶った。両親と川人の9年に及ぶ戦いの末、自殺は仕事が原因だと認められた。元同僚は「この10年、現場がとても大変なことはあまり変っていない。むしろ大変になっていることをお伝えしたいと思って来ました」と本音を明かした。今も毎年2000人以上の尊い命が過労によって奪われている。川人は「大事なのは成果が出ないことに甘んじてはいけない。弁護士たるものは、どんなに堅が厚くとも高くとも最大限の努力をする」と説明した。

川人と共に6年に渡り戦い続けて来た人たちがいる。大手電機メーカーに勤務していた我が子を失った母は「今帰ってきても”どこ行ってたん?”くらいの感じ」と話す。数ヶ月前から職場でのパワハラに悩まされていたという。自ら命を絶ったのは人事部との再面談を翌日に控えた朝のことだった。申請した労災は棄却。川人を頼り東京地裁に訴えたがこれも退けられた。亡くなる前の退職強要は”強”とされたが、以前に適応障害の診断を受けていたため労災と認められなかった。川人たちは基準改正を目指し東京高裁で国と争ってきた。裁判を2週間後に控えたこの日も「過労死100番」が川人の事務所で今年も行われた。30年目を迎えても尚、遺族からの悲鳴は続いている。

東京高等裁判所5050号法廷。第二回口頭弁論が行われた。川人たちは新たな切り口で主張を展開。国は今後に反論の機会を求めた。裁判官は審議継続を決定、戦いは続けられることとなった。5日後、川人は過労死弁護団を代表し認定基準の改定を申し入れた。成果はすぐに出ないかもしれない、だが 、だからこそ川人は壁に挑む。

川人博のプロフェッショナルとは。「責任感と柔軟性を合わせ持つ人。心のゆとりをもつことに寄って柔軟な発想、柔軟な知恵を生み出す人だと思う」と説明した。

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高橋まつりさん
高橋幸美
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東京地裁
東京高裁
過労死110番全国ネットワーク

エンディング (その他)
23:14~

「プロフェッショナル 仕事の流儀」の次回予告。

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