NHKスペシャル 熊本城 再建 “サムライの英知”を未来へ

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)とは、NHKのドキュメンタリー番組である。略称は、「Nスぺ」単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年4月19日(水) 0:10~ 1:00
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
00:10~

400年前に築かれた日本三大名城の1つ、熊本城は昨年の熊本地震によって甚大な被害を受けた。当番組は4Kの高精細カメラを搭載したドローンで戦後最大規模の文化財被害の実態に迫った。撮影した映像をもとにデジタル空間に熊本城を再現したところ、築城当初に造られた石垣の9割が地震に耐えていたことが判明した。古文書などを紐解くとサムライの叡智が隠され、その計算式に現代の研究者も舌を巻いた。使われた技術を再建に活かすことができないか、その叡智に迫る。

キーワード
熊本城
熊本地震
ドローン

熊本城 再建 “サムライの英知”を未来へ (バラエティ/情報)
00:14~

昨年4月の熊本地震で10万人以上が避難を余儀なくされ、200人余が落命した。熊本城も大きく損壊し、天守閣を幾重にも取り囲む石垣も至る所で崩落。ほぼ全域が立ち入り禁止となり、熊本のシンボルを誇りとしていた人々も傷心した。地震発生後も余震に襲われ、被害状況の把握は遅滞していた。7月、NHKは城を管理する市とともに調査に入り、高精細カメラを搭載したドローンを飛ばして撮影を行った。映像をデータ化して解析し、デジタル空間に熊本城の精緻な立体モデルを現出させた。

城の中心となる天守閣では瓦が剥落し、屋根には雑草が生えていた。石垣は崩落し、出入り口を塞いでいた。天守閣の南に位置する飯田丸五階櫓は1本の石垣を残して踏みとどまり、櫓自体は約55cmにわたってたわんでいた。重要文化財に指定される東十八間櫓は崩落し、城内にある13の重要文化財は全て損壊。石垣は50ヵ所以上で崩落した。

被害状況を分析するなか、築城当初の姿を残す宇土櫓、二様の石垣は地震に耐えていた。分析の結果、明治以降に修復された石垣のうち熊本地震で崩落したのは31%、一方築城当初の石垣の崩落は10%にとどまっていた。熊本城を築城し、初代城主だった加藤清正は築城の名手と謳われる。NHK放送センターには建築学、地盤工学、歴史学などのエキスパートが集まり、立体モデルを見つめるなか、大阪産業大学の玉野富雄教授は石垣の構造に着目。

熊本城が築城される前、多くの城では石が地面とほぼ水平に積まれていた。一方、熊本城では斜面に対して直角に積まれ、地震の際に力が分散するという。さらに、金沢城調査研究所の北垣聰一郎氏が言及したのが「のり返し」。曲線状に反り返った勾配で、二様の石垣が該当する。その立ち姿は「武者返し」と呼ばれ、難攻不落と呼ばれた熊本城の代名詞。

直線的な勾配、熊本城における「武者返し」の耐震性をシミュレーションで検証。前者の場合、石を外側に押し出す力が働いた。一方、後者では石垣の面に沿って力がかかり、石が飛び出しにくい。金沢城調査研究所の北垣聰一郎氏が熊本城の石垣を築いた職人たちが書き残した「石垣秘傳之書」を紐解くと、まず、石垣を1間(約1.8m)毎のブロックにわける。ここで小さな三角形を描き、その斜面が「ノリ」。ノリの傾きを決めるのは三角形の底辺の長さで、上にいくにつれて一定の法則で短くすることでノリが反り返っていく。これにより曲線状の石垣が出来上がった。この勾配を現代の数学で表すと複雑な数式となる。

研究者らは明治以降に修復された石垣に着目すると、曲線状ではなく直線的な急勾配と指摘する。壊滅的な被害を受けた頬当御門では勾配は直線的で、ほぼ垂直に立ち上がっていた。

熊本地震から3ヵ月、かろうじて残った1本の石垣が10トン以上の重さを支える飯田丸五階櫓では緊急工事が行われた。建物を支えるための鋼鉄製の巨大なアームを近づけ、先端を建物の真下に挿し込み、抱きかかえるように支えるという計画で、被害の拡大をひとまず防ぐことに成功したが応急措置にすぎない。

金沢城調査研究所の北垣聰一郎氏は加藤清正がどのようにして高度な技術を編み出したのか探るべく、韓国・蔚山を訪れた。清正は1599年に熊本城の築城に着手するが、93年に西生浦倭城をつくっていた。石垣の多くが直線状で、耐震性のある熊本城の武者返しとは一線を画す。この2城が作られる間にあたる1596年、慶長伏見地震が発生。清正は被災地の惨状を目の当たりにし、「武者返し」は敵を跳ね返すためのものではなく、地震対策として編み出されたものではという考えは北垣氏ら研究者の間で得心のいくものだった。

熊本城再建に向けて、熊本市は天守閣を3年以内に復旧させるという目標を掲げた。最高責任者である大西一史市長は内部に入り、被害の状況から「熊本地震が昼間に起きていたら犠牲者がでていた」と慄然とし、さらに強固なものにするという覚悟を持った。天守閣の周囲では崩落した石を慎重に運び出す作業が始まったなか、崩落を免れた石垣のあちこちで膨らみが確認された。ある場所では発見から3週間後に崩落し、石垣の構造を研究する関西大学の西形達明氏が調査に入った。

石垣の内部には栗石と呼ばれる小さな石が詰められ、地震の揺れを吸収して石垣を安定させる役割があると考えられてきた。だが熊本地震では2度に渡る巨大な揺れと、相次ぐ余震により、栗石が少しずつ沈み込み、石垣を押し出しているという。限界に達すると崩落に至る。1月、ドローンを飛ばして調査を試みると耐震性を備えた石垣でも膨らみが確認され、崩落の危険性を孕んでいた。一部でも崩れると連鎖反応で大規模な崩落に繋がりかねず、報告を受けた大西市長の表情は曇った。

加藤清正の没後、8年後、14年後に巨大地震が発生し、城主の細川忠利は石垣の膨らみを不安視した。二様の石垣に目を向けると清正、忠利が築いたものがあり、後者には大きな石が使われていた。石同士が接する面積が大きくなり安定性が生まれる。清正が残したものを継承しつつ技術革新に取り組んだ細川忠利の姿勢について、熊本大学の稲葉継陽氏は自身が相次ぐ現代への一種の警告として受け止めるべきと提言する。3月、市は専門家らを招聘し、熊本城再建の基本方針を示した。石垣の修復については「石垣秘傳之書」の技術を活かすこと、栗石の沈み込みを防ぐ新工法について論議が交わされ、大西市長は「熊本城の今回の被災はつらい出来事だったが、もう一回、熊本の我々に何かを教えようとしてくれている」と述懐し、先達者の考えや気持ちに思いを馳せることが重要としている。

キーワード
熊本城
熊本地震
ドローン
飯田丸五階櫓
東十八間櫓
宇土櫓
二様の石垣
加藤清正
NHK
大阪産業大学
安土城
金沢城調査研
武者返し
石垣秘傳之書
金沢城調査研究所
頬当御門
震災ニ関スル諸報告
蔚山(韓国)
西生浦倭城
加藤清正書状
慶長伏見地震
伏見大地震之図
築城図屏風
熊本市(熊本)
関西大学
栗石
熊本市役所
熊本大学
熊本大学 永青文庫研究センター
細川忠利

エンディング (その他)
00:56~

4月、立ち入り禁止となっていた熊本城の一部が開催され、多くの人々が花見のため足を運んだ。広場には崩落した石が並べられ、再建時に積み上げられる日まで静かに時を刻む。サムライたちの叡智の結晶たる、熊本城をどう残すのか、再建への長い道のりは始まったばかり。

NHKオンデマンドで配信します。

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