NHKスペシャル シリーズ激動の世界 第3回 揺れる“超大国”アメリカはどこへ

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2016年1月16日(土) 21:00~21:50
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
21:00~

去年11月、NATO合同軍事演習が行われ、過激派組織に人質を取られて救出作戦を展開する訓練が行われていた。圧倒的な軍事力で各国を主導してきたアメリカだがその姿に変化が現れていた。アメリカ軍の役割は空爆のみで地上での作戦には加わらない。テロリストの拠点を包囲したのはスペインとドイツの地上部隊で、最前線の先頭にはチェコやスロベニアの部隊が投入された。アメリカは今、自らが担ってきた負担を各国に求めようとし、これから世界をどうリードするのか模索を続けている。東西冷戦の終結から四半世紀あまり、世界は超大国アメリカを中心に秩序が形作られてきた。しかしテロとの戦いでアメリカの威信は失墜。台頭する国家の野望がむき出しになっている。新たな脅威の出現と混乱の連鎖、世界はどこへ向かうのか。最終回は揺れる超大国アメリカ。各国から軍を撤退させ「世界の警察官ではない」と宣言したオバマ大統領。その空白を突いて大国復活を目指すロシア、海洋進出の動きを強める中国、過激派組織ISの脅威。アメリカの影響力が低下し、世界の混迷が深まっている。アメリカはどこへ向かうのか。その模索を見つめ、激動の世界を展望する。

キーワード
NATO
冷戦
テロ
アメリカ
スペイン
ドイツ
チェコ
スロベニア
IS
ロシア
中国

シリーズ激動の世界 第3回 「揺れる“超大国” ~アメリカはどこへ~」 (バラエティ/情報)
21:03~

アメリカ大統領選挙で話題となっているのは過激な発言が目立つ、ドナルド・トランプ氏。トランプ氏はイスラム教徒のアメリカ入国の禁止や、シリア難民を送り返すなどと発言している。ニューハンプシャー州で行われるトランプ氏の集会を訪れると、偉大なアメリカを取り戻すというトランプ氏の考えが人気の背景にあった。大統領選挙の大きな焦点は世界を主導してきたアメリカの役割。

オバマ大統領は就任以来テロとの戦いに向き合ってきた。戦闘により負傷した兵士への支援も大きな課題になっている。退役軍人達は、軍事力で世界の問題を解決するのは間違っている、息子は戦場には送らないなどと話した。ブッシュ大統領はアフガニスタンとイラクに部隊を展開させ、年間で13兆円の戦費をつぎ込んでいた。オバマ大統領はイラクから軍を撤退させたが、力の空白によってシリアの内戦が起きた。シリアでアサド政権による反政府運動が始まり、アサド政権は武力で収めてきた。オバマ大統領が牽制したが、アサド大統領は攻撃を強めた。アサド政権の位化学兵器の使用をレッドラインとしていたオバマ大統領だったが、使用が確認されてもオバマ大統領は参加を決めなかった。

テロとの戦いを全面展開し多くの血を流したブッシュ政権での痛手に懲りて、オバマ政権では穏健な路線に転じた。しかし、睨みの効かなくなった中東などでは新たなテロや紛争が広がる事態となった。アメリカは今年大統領選挙一色に染まる。

当時ホワイトハウスでどのような話し合いがされていたかを元国防次官補のデレク・ショレ氏に尋ねた。アメリカ政府は軍事介入への具体的な計画を検討していたという。デレクは、軍事計画は難しい選択ばかりで、国際社会ではアメリカがアサド政権を倒すべきと言われていたが、政権崩壊後の混乱をどうするかの答えがなかったなどと話した。オバマ大統領はイラク戦争でフセイン政権を崩壊させた後各地で広がった混乱を抑えるために約3万5千人のアメリカ軍兵士の死傷者を出した重い教訓を抱えていた。オバマ大統領は、アメリカは世界の警察官ではないとコメントし、軍事介入を拒否した。

しかしこのことでISの台頭が起こった。ISは油田地帯を制圧していき、力を拡大していった。アメリカの圏域が侵されたことでオバマ大統領は空爆を決意した。その一方、地上兵は地元の義勇兵などを戦わせることにした。アメリカに協力していた自由シリア軍のアンマル・ワーウィー氏はアメリカから志願者を集めてほしいと頼まれた、事細かに志願者を調べ、我々の中に過激派が紛れていることを疑っていたなどと話した。また、面接を受けた幹部は、訓練がISとの戦闘に限られたもので、反政府軍の自分たちはISとの戦いが終わればアサド軍と戦うため、反発が起きたなどと話した。

IS戦略の行き詰まりはアメリカ国内でも波紋を呼んだ。460億円を投じた地上兵を訓練する計画は失敗に終わった。元国防情報局長官のマイケル・フリン氏は訓練したホワイトハウスは、戦闘員がテロリストになるのではなどと恐れ、どう関与するかわからなくなっていたなどと話した。ロシア軍はアサド政権への支援を宣言し、大規模な空爆を行った。政治学者のルキヤノフ氏は、プーチン大統領はアメリカが絶対権力を持つ時代は終わったとみていて、ロシアはその機会を見逃さなかった、 中東の力の空白をロシアが埋めているなどと話した。フリン氏はアメリカが世界で指導力を発揮できなければ、これからも力の空白に台頭する勢力が出てくる。アメリカが引いた時の現実をシリアは突きつけているなどと話した。

政治学者のミード氏は、力の空白についてアメリカが中東から引いていると各国が受け止めたことが不安定な紛争を生んでいる、国民はブッシュ政権のイラク戦争で失望した、オバマ大統領になっても期待した民主国家は生まれなかった、何もうまくいかないため、何もしない方がいいと考えるようになったなどと話した。さらにミード氏はシェール革命を受け、アメリカは原油と天然ガスを自給できるようになり、中東の原油に依存しなくなったため国民は、アメリカが中東に介入しても問題を起こすだけならば関わる必要はないと考えるようになったなどと話した。国際政治学者イアン・ブレマー氏に日米の同盟関係の変化について尋ねると、アメリカが何を目指しているのか、どこまで関与してくれるのかわからなくなっているため同盟国は変化を迫られている、アメリカがリーダーでなくなった世界で最も早く問題に直面するのはアメリカの同盟国だなどと述べた。

アメリカが発展させてきたインターネットに過激な思想が侵食している。アメリカ国務省は中東などの市民活動家を集め、次世代を担うリーダーを育てようとしている。この取り組みを強化したきっかけはアラブの春だった。アラブの春で民主化が進んだのはチュニジア1国だった。アメリカはチュニジアを重要な国と位置づけたがテロ等で国内は揺れている。NGO活動家のマライ・ベンフルさんは若者の間に過激想が広がることを防ぐ活動を続けていて、過激派に勧誘された経験がある人達と対話を続けている。その若者は、チュニジアの若者は仕事がなくこの国から出たがっている、だから誘いに乗りやすいしお金を見せられたら飛びついてしまうなどと話した。

ベンフルさんのような若者の活動を後押しするため、アメリカ政府はITのノウハウを指導している。国務省のアゲラー氏は若者たちには祖国で指導力を発揮し、政府が市民の意見に耳を傾けるよう尽くしてほしい、中東の安定と発展は世界にとって大きな利益になるなどと話した。一昨年政変が起きたウクライナではアメリカが反政府運動を過激化させる手法を教えていたとして非難されていた。元国務省のアレック・ロス氏は特定の思想を広めているわけではないなどと話した。

オバマ大統領は過激思想対策サミットで、IT企業に協力を求め、民間の力を示すプロジェクトとして「アブドゥラXプロジェクト」が行われた。アメリカ政府はフェイスブックの技術を活用してきた。実証実験では、過激思想を持つ若者を検索し、個別に説得する方法を取った。プログラム開発者は、若者を過激思想から遠ざけるには1対1の対話しかない、彼らは信頼できる人物にしか心を開かないからだなどと話した。アルベルト・フェルナンデス氏はシリアは世界初のソーシャルメディア戦争だ、インターネット上の過激派に対抗するため民間企業の力を高め活用しなければならないなどと話した。

ロシアを代表する国際政治学者のドミトリー・トレーニン氏に話を聞くと、世界で最も強大なのはアメリカ、それに挑戦しているのが中国、ロシアだ、近い将来この3カ国が世界の最高峰リーグを作り、その枠組の中で競うことになるだろうなどと話した。アメリカの振る舞い方について尋ねると、アメリカは自らの国益のために主義や原則を押し付ける、世界という企業があったとしてアメリカには最大の株主としての責任を果たしてほしいなどと話した。ブレマー氏は最高峰リーグについて、もしリーグができるならロシアが役割を果たす、新たな国際秩序はこれから作らなければならない、アメリカ一極時代にはもうもどれない、今の世界の中でアメリカはどのような役割を果たすのか決断しなければならない、必要なのは「ドクトリン」国家の基本原則だなど。

キーワード
共和党
ドナルド・トランプ氏
民主党
ヒラリー・クリントン前国務長官
IS
ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事
オバマ大統領
ニューハンプシャー州(アメリカ)
アラブの春
アサド大統領
イラク戦争
マケイン上院議員
オースティン将軍
フィッシャー上院議員
デラウェア州(アメリカ)
イラク
アフガニスタン
シリア
アメリカ
モスル(イラク)
アルビル(イラク)
トルコ
ワシントン(アメリカ)
シリア人権監視団
ブッシュ政権
シェール革命
カリフォルニア銃乱射事件
パリ同時テロ事件
リビア
エジプト
チュニジア
ロンドン(イギリス)
ドクトリン
イラン
サウジアラビア
北朝鮮
中国

エンディング (その他)
21:46~

アメリカと反比例して存在感を示す中国、ロシアが大国復活へと邁進している。しかしそうしている間にも血が流れ、難民が生まれている。そうした中でアメリカが大きな役割を負っていることに変わりはなく、グローバルな社会の道標となる新たなドクトリンを生み出すことが最大の鍵となる。

エンディング映像。

キーワード
アーリントン墓地

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