NHKスペシャル メルトダウン File.5「知られざる大量放出」

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2014年12月21日(日) 21:15~22:15
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
21:15~

独自の取材と科学的検証を重ね、福島第一原発の事故の真相に迫り続けてきたシリーズ「メルトダウン」。今回は、事故から4年近くたって浮かび上がった「知られざる大量放出」に迫る。

キーワード
ロナルド・レーガン
吉田昌郎所長(故人)
放射性物質
福島第一原発事故
メルトダウン
水素爆発

メルトダウン 知られざる大量放出 (バラエティ/情報)
21:19~

ナビゲーターの橋本奈穂子アナウンサーらが挨拶。スタジオでは福島第1原発事故の主な時系列を紹介した。事故発生からの4日間では全体の25%の放射性物質が放出され、その後2週間で75%の放射性物質が放出されていたと伝えた。

2011年3月15日、政府は福島第一原子力発電所事故の終息を急いでいるなか原子炉は依然として高温状態にあった。格納容器が損傷すれば大量の放射性物質が放出する可能性があったため、消防車による原子炉への注水作業が行われていた。吉田昌郎所長は免震重要棟で陣頭指揮を取っていたなか、原子炉のある建物から放射性物質の放出が続いているという情報が入った。3号機当直長は最低限の作業員とともに注水作業の進捗状況をチェックしに向かい、消防車は順調に送水していた。

福島第一原発3号機の中央制御室へと向かった作業員は非常用のバッテリーで原子炉内の水位確認を行ったところ、原子炉が十分に冷却されておらず炉心損傷割合が上昇。事故対応にあたっていた東電社員は思い通りにいかない事態に焦りを募らせていた。その後の検証結果で消防車による注水は別の場所に流れ込んでいたことがわかり、注水の抜け道は18ヵ所に及んでいた。また実際の注水量は僅かで、エネルギー総合工学研究所の内藤正則さんによると僅かな注水量は原子炉内で蒸発し、溶け残っていた原子炉に悪影響を及ぼしたという。

核燃料を覆っている特殊な金属を使った実験によると、1200度まで加熱した金属に僅かな水を蒸発させて流し込むと金属の温度は急速に上昇した。そして金属はゆっくりと損傷して内部の放射性物質が長時間かけて漏出する仕組み。

戸来久雄は福島第一原発で高温状態にある原子炉内を冷却するために行った注水作業は効果を発揮せず、更に想定外の事態などで逆に長時間の放射性物質の放出を招くことになったと解説。特に2011年3月16日の放出量は全体の10%を占めたという。

福島第一原発周辺の汚染拡大をシミュレーションしたところ、3月15日の正午時点では広範囲に汚染は広がっていたが汚染濃度は集中していなかった。だが翌日午前2時までに北西方向にかけて汚染濃度が急上昇し、その期間の放出量は総放出量の10%を占めた。そしてヨウ素131が何故か大量に放出され、エネルギー総合工学研究所の専門家らは15日午後以降の資料を具に検証した。福島第一原発3号機では格納容器の異常が検知され、3号機中央制御室の作業員は高圧力状態にある格納容器を保護するためにベントを行った。格納容器内部の蒸気を水にくぐらせ、放射性物質の量を1000分の1の濃度にして外に放出するというもの。

ベントを行ったにも関わらず、原発敷地内では放射線量が急上昇する事態となった。ベントの際に格納容器内の蒸気をくぐらせる水が高温状態にあるとその機能を失い、多くの放射性物質を外部に逃してしまうことが分かった。さらに東京海洋大学の検証実験により、放射性物質を外に排出する際にフィルターの役割を果たす地下の配管では度重なるベントによって高濃度のヨウ素を排出することになった。事故の収束が長引く中で思わぬ事態が発生した。

戸来久雄は東京電力の元幹部から聴いた話しを語り、原発に100%の安全性はないとコメント。アメリカではスリーマイル島原発事故、ロシアではチェルノブイリ原発事故を境に世界では原発にはリスクが伴うと認識してきたが、日本では重大事故は発生しないという前提に立っていたという。また戸来は事故の対応にあたる作業員の判断も原発事故特有の難しさがあったとコメント。

2011年3月16日、福島第一原発では作業員が電源復旧に着手していた。核燃料を冷却することで放射性物質の漏出も抑えることができると見込んでいたが、冷却した核燃料を保管する燃料プールでは冷却装置が止まったことで水が蒸発。最悪のケースではメルトダウンが発生する可能性があり、中でも4号機のプールは原発内で最多の核燃料を保管していた。更に周辺の放射線量は高く、作業員が接近して確認することもできなかった。免震重要棟では作業員が対応に追われる中、自衛隊がヘリコプターでプールの状況を確認してくれるという情報が舞い込んだ。

3月16日午後、自衛隊のヘリコプターが燃料プールを確認するために福島第一原発の上空を旋回。免震重要棟にその映像が届けられ、懸念されていた4号機の燃料プールにまだ水が残っていると不鮮明ながら確認。作業員は電源復旧を優先事項とし、翌日の早朝に電気工事の技術者らが現場へと向かっていた。だが現場では自衛隊ヘリと消防車による燃料プールへの放水作業が行われ、自衛隊の折木良一幕僚長は専門的な判断や分析はわからないまま、放水作業を継続していた。

東京電力本店では政府・東京電力事故対策統合本部が設置され、本部からの指示で燃料プールへの放水作業が行われた。米国・原子力規制委員会のチャールズ・カストー氏は首相官邸で4号機の燃料プールの映像を見せられ、決定的な証拠が不足しているとして4号機の燃料プールは干上がっていると判断。そして米政府はメルトダウンが発生する可能性があるとして、80km圏内からの避難勧告を伝えた。米国・国務省のカート・キャンベル国務次官補も藤崎一郎駐米大使にその旨を伝え、外務省へと報告した。

福島第一原発の電源復旧は燃料プールへの放水作業の度に中断を余儀なくされ、原子炉内の温度は高くなる一方だった。そして放射性物質の放出は続き、3月21日には関東一円を汚染した。そして放水作業が終了し、電源復旧作業が本格化したのは翌日の22日だった。

戸来久雄はメルトダウンが発生すると高い放射線量により現場での作業ができなくなり、情報が不足することで判断を見誤るなどが原発に伴うリスクと解説。今回の原発事故を教訓に安全対策が進められているが、更なる検証が必要だという。そして依然としてメルトダウンを起こした原発には接近できず、全体像の解明には数十年を要する。

福島第一原子力発電所事故から3年9ヵ月が経過し、原発周辺では専門家による汚染調査が進められている。福島・浪江町では放射線量が高いホットスポットが点在し、事故前に大熊町で畜産業を営んでいた女性は避難先から通って牛の世話を行っている。

キーワード
福島第一原発事故
放射性物質
枝野幸男官房長官
福島第一原子力発電所事故
吉田昌郎所長
エネルギー総合工学研究所
ヨウ素131
ベント
東京海洋大学
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チェルノブイリ原発事故
自衛隊
東京電力
海江田万里計算大臣
細野豪志首相補佐官
米国・原子力規制委員会
ワシントンD.C(アメリカ)
米国・国務省
浪江町(福島)
ホットスポット
大熊町(福島)
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