NHKスペシャル 調査報告 STAP細胞 不正の深層

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2014年7月27日(日) 21:00~21:50
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
21:00~

理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーはSTAP細胞の検証実験を行うため準備を進めていて、不正が無いように実験ルームには監視カメラが複数設置されている。今年1月にSTAP細胞は生物学の常識を覆す世紀の大発見として世界中から注目を集めたが、今月にネイチャーは論文の取り下げを発表した。専門家による検証が行われたところ、論文内で画像やグラフなどの多くに不自然な点があると指摘している。STAP細胞の研究不正の裏でなにがあったのか。

キーワード
理化学研究所
STAP細胞
nature

調査報告 STAP細胞 不正の深層 (バラエティ/情報)
21:03~

イギリス・ロンドンにあるネイチャーのフィリップ・キャンベル編集長はSTAP細胞論文の審査が十分でなかったことを認め、研究不正を防ぐ必要があると指摘している。アメリカでは研究不正防止に長年取り組んでいて、大学では不正を行った研究者の実名を挙げて、不正に至った心理や背景についての講座を行っている。カレン・シュミット教授は科学者も普通の人間であり、不正を防げるのかを考えておかなければならないとコメント。

小保方晴子氏はハーバード大学の再生医療の研究室で留学生として過ごし、指導者だったチャールズ・バカンティから受精卵のような万能細胞を作るアイデアを受け継いだ。受精卵は分裂を繰り返しながら60兆個の細胞に分かれ、人体を形成している。この流れは一方通行で、細胞から受精卵のような細胞ができないか研究が行われてきた。ゆくゆくは再生医療に期待でき、人類はこれまでにES、iPS細胞を発見している。小保方氏は切断されたシロイヌナズナがその刺激によって断面近くの細胞が万能性を持つことに着目し、動物の細胞も刺激を与えれば万能性を持つのではと研究を進めてきた。

2010年夏、小保方晴子氏は知人を通じて若山照彦氏とともに共同研究を開始した。理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの研究室にある奥まった区画で小保方氏は1人作業し、マウスの体から取り出した細胞に酸や酵素などで刺激を与えることで万能細胞をつくろうとしていたとされる。そして万能性を示す兆候が見つかった際、若山氏に調査を依頼していた。若山氏が受け取った細胞を受精卵に入れて培養し、キメラマウスと呼ばれるマウスが誕生すれば万能性を示す証拠となるという。

山中伸弥教授はiPS細胞からキメラマウスを造ることに成功し、iPS細胞が万能性を示す証拠として用いた。だが小保方氏は研究の過程でキメラマウスが生まれず、実験は難航していたようだったという。だが研究パートナーの若山照彦氏は小保方氏から受け取った細胞をもとにキメラマウスを生み出し、新たな万能細胞の製作に成功したと思ったという。だが実験ノートにはキメラマウスの誕生、元になった細胞をどう作ったかなどの記述はなかった。

アメリカ・ボストンにあるハーバード大学のジョージ・ディリー教授は万能細胞の世界的権威で、STAP細胞論文における万能細胞のシンプルながら画期的な作り方に驚愕したという。教授は再現実験を始めたがうまくいかず、論文の共著者の1人であるチャールズ・ヴァカンティ教授に共同研究を申し込んだ。それでも1度も成功できず、ディリー教授は論文で示された方法では万能細胞は作れないと推測している。

STAP細胞論文への疑問が指摘されたから、若山照彦氏は自らの実験に手違いがあったのではと解析実験を行ってきた。だが研究で使われたマウスとそのマウスから製作した細胞の遺伝子は一致するはずが異なり、理化学研究所の遠藤高帆上級研究委員は事態を重く受け止めて検証に乗り出した。膨大な遺伝子情報を解析するなか、アクロシンGFPという特殊な遺伝子がSTAP細胞の研究で使われていたことが分かった。若山氏の研究室ではこの遺伝子が組み込まれたマウスから別の万能細胞であるES細胞を作っていて、小保方氏から受け取った細胞にES細胞に混入していたのではと考えていた。このES細胞があれば、キメラマウスを作れるのは容易だという。

4月9日、小保方晴子氏はSTAP細胞の研究でES細胞が混入する状況が起こるのはとはありえないと主張。だが小保方氏の研究室が使っていた冷凍庫に保管されていた容器からES細胞が発見され、細胞を作成した元留学生は小保方氏に渡したことはないという。現在、STAP細胞の再現実験に成功した研究者はおらず、ES細胞ではないかとう指摘も挙がっている。理化学研究所 CDBの竹市雅俊センター長は小保方氏による再現実験を行った上で結果を出す必要があるとコメント。

小保方晴子氏は2012年4月にnatureなどに論文を初めて投稿したが、掲載されることはなかった。論文を審査した専門家は厳しい指摘をしていたが、2013年3月に投稿された論文では評価が一転。その背景には再生医療研究において日本で最高権威と言われた笹井芳樹氏の存在があり、、小保方氏とともに論文研究を重ねてきたという。小保方氏に画像やグラフの作成を指示し、笹井氏は今年1月に論文がnatureに掲載された際に記者会見の広報戦略を担った。さらにSTAP細胞がiPS細胞よりも優れていることを示す補足資料も用意し、笹井氏はインパクトなる論文と太鼓判を押した。

幹細胞や免疫などの分野で活躍する専門家によるSTAP細胞論文の検証が行われたところ、理化学研究所 CDBの笹井芳樹氏の論文作成能力に舌を巻いていた。だが検証の中で論文内の140ある画像やグラフのうち7割以上に信頼性の欠如、加工の疑いなど不自然な点があると指摘。またSTAP細胞が万能性を示す証拠となるキメラマウスについての記述はシンプルで、結果についの記述はなかった。高濱洋介氏らは論文のストーリーそのもの成立していないと指摘し、データを徹底的に調べないなのは何故なのか疑義を呈した。

笹井芳樹氏はSTAP細胞の証明が不十分なまま論文を投稿したと指摘され、理化学研究所の事故点検検証委員会は特許の問題があったと指摘。科学的な重要な発見の場合、論文作成と平行して特許の出願も進められるのが一般的。札幌医科大学の石埜正穂教授は科学者にとって特許の取得は重要な意義があり、国からの資金、優秀な人材の獲得、企業との共同研究など産業化にも結びつくという。理化学研究所 CDBの周囲には医療関係のベンチャー企業や団体が集まっていて、三木孝氏によると笹井芳樹氏による貢献が大きかったと語る。また鍋島陽一氏は今回の論文騒動により、笹井芳樹という大きな存在を失ったとコメント。

ミシガン大学では研究不正の先進的な取り組みを続けていて、画像の改ざんなどを防ぐため研究者が行った実験データを保存するセンターを建設。またアメリカ政府は研究公正局を設置していて、専門家が通報を受けて不正の真偽を調査している。ニコラス・ステネック教授は研究組織の風土を変えることが研究不正の減少に繋がるだろうとコメント。

理化学研究所の野依良治理事長はSTAP細胞の論文を巡って謝罪したが、細胞の存在を覆す疑義が明らかになっても調査を行わない姿勢を取り続けてきた。外部からの強い批判を受けて論文全体の調査を行うとしたのは先月末で、川合眞紀氏研究担当理事は解析には時間がかかる上に一度ですべてができるわけではないとコメント。九州大学の中山敬一教授は不正を働く人が増加するなか、防止策を講ずる必要があると指摘した。

キーワード
野依良治理事長
小保方晴子氏
ES細胞
iPS細胞
シロイヌナズナ
マーティン・エバンズ
山中伸弥教授
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター
STAP細胞
ボストン(アメリカ)
ハーバード大学
チャールズ・ヴァカンティ教授
理化学研究所
アクロシンGFP
理化学研究所 CDB
nature
iPS
大阪大学
九州大学
ネイチャー
ロンドン(イギリス)
ピッツバーグ大学
ミシガン大学
研究公正局

エンディング (その他)
21:48~

エンディング。

  1. 前回の放送
  2. 7月27日 放送
  3. 次回の放送