NHKスペシャル 人工知能 天使か悪魔か 2017

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2017年6月28日(水) 0:10~ 1:00
放送局 NHK総合

番組概要

オープニング (その他)
00:10~

今年春に行われた電王戦で佐藤天彦名人と人工知能が相見え、佐藤名人は完敗を喫した。チェス、囲碁、それに加え、将棋においてでも人工知能が目覚ましい進化を遂げているという事実を社会に突きつけた。羽生善治三冠は当番組で世界各国の人工知能の最前線を目の当たりにし、「隔世の感があるのが率直な感想」と吐露した。名古屋のタクシー会社では人工知能の予測に傾倒しつつあり、シンガポールのバス会社では事故を起こす危険性の高い運転手を人工知能が検出する。今回、羽生三冠は電王戦2番勝負を読み解く。

キーワード
人工知能
電王戦
佐藤天彦名人
羽生善治三冠
名古屋市(愛知)
シンガポール

人工知能 天使か悪魔か 2017 (バラエティ/情報)
00:15~

4月1日、日光東照宮で「電王戦」2番勝負の第1局が行われた。将棋界最高位の名人に君臨する佐藤天彦氏は16年5月の名人戦で羽生善治氏に勝利した若き俊英で、電王戦では4年前の登場からプロ棋士に負け知らずの「ポナンザ」と相見えた。ポナンザは人間の手を借りず、自分自身で学ぶ「機械学習」を取り入れていて、過去20年分の対局の棋譜を解析し、あらゆる局面での最善手を見つけ出す。

将棋において、第1手は角道、もしくは飛車道を開けるために歩を動かすのがセオリーとされるが、第1局でポナンザの第一手は3八金。羽生善治三冠曰く、自玉の守りを離れるうえに、飛車の動きを制限してしまうとあって人間は絶対に指さないという。だが手数を進めるとポナンザは3八金を足がかりに中住まいという強固な守備を築いた。独特な創造性を生み出す要因となったのがポナンザ同士の対戦で、対局数は700万局に及んだ。人間が1年に3000局をしても2000年を要する。膨大な対局を通してポナンザは人知の及ばぬ戦法に辿り着き、佐藤名人はそれを目の当たりにした。当番組で人工知能の開発の最前線を取材した羽生氏は「人工知能と棋士の対局は未来社会の模擬実験的なことをやっているのではないかと思います。コンピューターと人間の棋士との間で起きている様々な事象が今後、人工知能が社会で応用されていく時に想定される事態を先取りしているように思える」と取材記に綴っている。

愛知・名古屋市にあるタクシー会社「つばめタクシー」は売り上げが伸び悩む中、人工知能の導入に踏み切った。カーナビに人工知能が搭載され、地域を500m四方で区切り、向こう30分間の客数の予測を数字で示す。タクシーを走らせたのは経験の浅い女性ドライバーで、カーナビに映し出された矢印に従って走ると予測が次々と的中。人工知能を搭載したタクシーでは客数が20%も増加した。開発したのはNTTドコモで、開発から僅か1年半で実用化に漕ぎ着けた。人工知能は電波を通して人間の位置情報データを入手し、タクシー会社が持つ乗降記録を学習。過去タクシーが乗る人が多かったエリアに人がいつも以上に集まれば、タクシーの利用が増えると予測し、天気や日付などの要因も考慮して予測の制度を高める。上述したタクシー会社では今年度中に人工知能の予測システムを1200台のタクシーに搭載する予定。NTTドコモの那須和徳さんは「移動革命を起こしたい」と意気込み。

東京の株式市場の取り引きの8割がコンピューターによるもので、東京・大手町にある野村證券では昨年から人工知能を導入した。年金などを運用する機関投資家の売買を人工知能に任せている。かつてのトレーダーは読みと反射神経を武器としていたが、今は人工知能が行う取り引きをじっと見つめるだけ。独自開発した株価予測システムで人工知能は東証500銘柄の過去1年間の株価の変動、売買取引のデータを学習した。1日毎ではなく1000分の1秒単位の変化から法則性を見つけ出し、5分後の株価を予測して利ざやを狙う。株式市場では人工知能対人工知能の様相を呈し、どれだけ優れた人工知能を開発できるかがマネーゲームの勝敗を左右する。

電王戦第1局の後半、佐藤名人は52手目で8八歩を指した。ポナンザが同金で歩を取ってくれれば、8手先では佐藤名人の飛車が金を取り、王手をかけられる展開となる。だがポナンザは7四歩で、佐藤名人にとっては歩を差し出されたようなもの。銀で取ったところ、数手先で佐藤名人は飛車を引かざるを得なかった。この7四歩を境にポナンザが一気勝利を決めた。超高速の思考過程は開発者の山本一成氏ですら理解の外で、プログラムを書いた本人でも完全に分かっていないのが今の人工知能の開発で起きている。羽生氏は「社会が人工知能を受容していく中で人工知能の思考過程がブラックボックスとなっているのは大きな問題となる可能性があると思う」と指摘。

アメリカ・カリフォルニア州の裁判所に導入されたのが人工知能による再犯予測システム。人工知能には過去の膨大な裁判記録が教師データとして与えられており、そこからどんな特性を持った人が犯罪を繰り返すのかパターンを解析する。人工知能の予測は刑期などを決める上で裁判所の重要な材料となる。カリフォルニア・ソノマ郡では再犯率が10%減少した。窃盗の罪で逮捕されたロバートさんは懲役2年の判決を受け受刑中。日中は刑務所の外で仕事をすることを許されているロバートさんだが人工知能により仮釈放を許可されていない。人工知能に判断されていることを知らなかったロバートさんは「人工知能に人生を判定されるなんて納得がいきません。もし間違った判断をしたらいったい誰が責任を取るんですか」とコメントした。

日本では企業が社員採用に人工知能を導入するケースが現れた。全国の病気に医療事務の人材を送り込んできた会社では年間2000人の退職者が出ており深刻な問題となっている。5月下旬から人工知能を導入し面談した際に退職する予兆のある人を探し、手厚いサポートで退職者を減らす取り組みが行われている。人工知能の判定は3人に退職の予兆ありと判断してきたが、宮川さんが期待を掛けていた社員も含まれていた。

このシステムを開発した企業は世界の弁護士事務所や銀行など大量の文書を使う企業で活用されている。今回人工知能に与えた教師データはこの半年間に実際に退職した人の面談記録が元となっている。人工知能は文章を単語・接続詞・助詞など構成要素に分解し判断する。フロンテオ・武田秀樹さんは「人間のように意味を理解したり心理を読んでいるわけではない。教師データの特徴を捉えてそれと同じような文章を見つけている」と説明した。

羽生善治の取材記を紹介。5月17日に行われた名人戦で、佐藤名人はこれまでの定跡とは違う戦い方をしており挑戦者を退けた。佐藤名人は電王戦第2局に向けて人工知能との他局のシミュレーションに没頭していた。佐藤名人はインタビューで「人間同士でやっていると気がつかないうちに将棋の宇宙の中にある1つの銀河系にしか住んでいない感じになっていく。もっと広い視点で見ればいろんな惑星がある。今まで気がついていなかった自分自身の持っている面も気が付かされた」と語った。

韓国では人工知能を国家運営に導入する計画が検討されている。「グローバル リーダーズ フォーラム」でAI政治家の開発が発表された。人工知能研究所・ベン・ゲーツェル博士は自身が開発したロボットをAI政治家に育てようとしており、憲法・法律・国防・経済政策などを読み込ませ5年後の実用化を目指している。

5月20日兵庫県・姫路城で佐藤名人とボナンザとの対局が行われた。序盤戦佐藤名人は積極的な攻撃を仕掛けていくが開始から9時間、佐藤名人が敗戦し6年続いてきた電王戦はこれで最後となった。羽生善治氏は「もしかすると人間がいままで持っていたものよりも優れているものなのかもしれない。一方でそれが絶対的に正しいとも限らない、そういものが出てきたとしてもそれを取り入れるかどうかとか受け入れるかどうかというのは人の判断ということになる」と説明した。

キーワード
人工知能
電王戦
日光東照宮
ポナンザ
機械学習
中住まい
NTTドコモ
名古屋市(愛知)
つばめタクシー
野村證券
シンガポール
カリフォルニア州(アメリカ)
フロンテオ
ソウル(韓国)
グローバル リーダーズ フォーラム
姫路城
Ponanza

エンディング (その他)
00:57~

愛知・名古屋市にあるタクシー会社のベテランドライバーは人工知能を搭載した車で仕事に出発した。ドライバーは「予測どおりといいますか、情報がたくさん来るものですから使いこなすとありがたい武器になる」と話した。人工知能がさらに進化すれば自動運転となりドライバーすら消えてしまうことになる。人工知能は天使か悪魔か。ただ1つ言えることはその進化は止まらないということ。

キーワード
人工知能
名古屋市(愛知)
つばめタクシー
  1. 前回の放送
  2. 6月28日 放送
  3. 次回の放送