かんさい熱視線 あくなき探究〜ノーベル賞 偉業を支えた信念〜

『かんさい熱視線』(かんさいねっしせん)は、2008年4月4日より近畿地方のNHK総合テレビジョンで放送されているNHK大阪放送局制作の地域情報番組である。

出典:goo Wikipedia

放送日 2018年10月6日(土) 11:00~11:30
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
11:00~

今週発表されたノーベル医学・生理学賞に京都大学の本庶佑さんが選ばれた。その偉業を支えたのは、長年の研究生活で培われた一つの信念だった。本庶さんはこれまでの抗がん剤とは異なる画期的な治療薬を開発し、がんの免疫療法を確立した。その研究成果が、がん患者の命を救ってきた。今回、本庶さんの同級生・友人を取材し、素顔に迫った。

日本人26人目のノーベル賞で、関西では山中伸弥教授以来6年ぶりの受賞となった。今回の受賞理由は、これまでなかった全く新しいがんの免疫療法を確立したこと。今回のゲストは本庶さんと共に研究してきた湊長博さん。本庶さんはひとことで言えば、”まっすぐ”な人だという。

キーワード
ノーベル医学・生理学賞
本庶佑
山中伸弥教授
ノーベル賞

あくなき探求〜ノーベル賞 偉業を支えた信念〜 (バラエティ/情報)
11:04~

1980年代から免疫学の研究で世界をリードしてきた本庶さんの研究室。 ノーベル賞へとつながる研究は、1992年の1人の助手のある発見から始まった。助手を務めていた石田靖雅さんは当時、免疫細胞の実験の中で未知のタンパク質を発見、PD-1と名付けた。しかしどんな働きをするタンパク質なのか全く見当がつかず、当時は重要視されていなかった。その後、石田さんは自らの留学のためこの研究から離れた。それでも本庶さんは持ち前の探究心でPD-1に特別な役割があるはずだと考え、研究を続けた。本庶さんは遺伝子操作でPD-1のないマウスを作り、観察することにした。すると心臓に炎症が起き、免疫細胞が暴走して自分自身の正常な細胞を攻撃していた。このことからPD-1は、免疫細胞を抑制するブレーキの役割を持っていることがわかった。このPD-1を利用すれば、新しいがんの治療法が見つかるのではないかと、本庶さんは確信した。

本来がん細胞に攻撃をしかける免疫細胞に、ブレーキをかけることができるのがPD-1であり、がん細胞はPD-1に働きかけて免疫細胞を抑制して増殖する。そのため、ブレーキをかけさせないようにPD-1に蓋をする薬が開発できれば、画期的ながん治療につながると考えた。石田さんは本庶さんの粘り強い研究姿勢が発見につながったと語った。その後、PD-1の機能を活かした薬の開発を目指した本庶さんだが、大きな壁が立ちはだかる。国内の製薬会社をまわって共同開発を持ちかけたが、見向きもされなかった。

当時本庶さんのもとで研究にあたっていた岩井佳子さんは、何度製薬会社に断られても諦めずに交渉を続ける本庶さんの姿を見ていた。本庶さんは海外の企業にも薬の開発を相談するなど奔走し、最終的に新たな治療薬「オプジーボ」を開発・販売することになる製薬会社との研究開発にこぎつけた。「オプジーボ」はこれまでに国内の2万5000人以上のがん患者に使われてきた。関西医科大学附属病院では3年前から肺がんや皮膚がんの患者、のべ200人以上をオプジーボで治療し、2割の患者に効果が現れた。オプジーボによる治療を受けている曾田俊彦さんは、3年前にステージ4の肺がんと診断された。当初は放射線治療や抗がん剤による治療を行ってきたが、重い副作用に苦しめられた。しかし、2年前にオプジーボによる治療を始めると効果が現れ、今では以前のような生活を送れるようになり、趣味の旅行に行けるまで回復した。

湊長博さんは本庶さんについて、非常にまっすぐなため忖度や気を遣う必要がないなどと話した。PD-1の発見・利用に費やした歳月について、最初の10年は純粋な研究であり、ノーベル賞受賞に大きく貢献したのは後半の10年だとした。後半の10年はマウスの実験結果から本庶先生ががん治療に応用できると確信し、今やるべきだと思ったことが彼にしかできなかったことで、大きいと思うと話した。

これまで、がん治療は外科手術・抗がん剤・放射線の治療しかなく、進行の進んだがんには効果を発揮しにくいというのが実情だった。そこに本庶さんの研究した免疫療法が画期的な治療法として登場した。「オプジーボ」は現在では肺がんや胃がんの一部など、7つのがんで使われている。しかし効果が見られるのは投与した患者の2割~3割と少なく、副作用もある。しかしがん治療において、新しい扉を開いたのは非常に大きな功績であり、その点が評価されて受賞に至った。湊長博さんは効果が見られた3割の大小について、その中のかなりの人が長期生存しているため、免疫療法の出現によってこれまで短期でも生存期間が延びれば”効果”がみられると判断されてきた基準が、どれだけ長期生存できるかにシフトしてきているとし、これまでの”3割”とは違うと思うと話した。

ノーベル賞の受賞決定から一夜明けた今週火曜日。夫婦で臨んだ記者会見の場で、妻の滋子さんは自宅での本庶さんの素顔を明かした。本庶さんは何事もとことん突き詰める姿勢を、幼少から貫いてきた。医師だった父のもと、京都で生まれた本庶さんは6歳から山口で過ごした。小学校から高校まで同じ学校に通った矢次敏さんは、本庶さんは授業中に先生を困らせるくらい勉強熱心だったと話した。さらに矢次さんを驚かしたのが、本庶さんの強い正義感だった。高校時代に試験問題のヒントを教師が生徒に教えると、本庶さんは告発文を書き上げて新聞部だった矢次さんに掲載を迫った。京都大学医学部に進学した本庶さんは大学のオーケストラに入り、ほとんど経験のなかったフルートの演奏に挑戦した。その中で本庶さんはプロ級の腕前を持つ人達に追いつこうと努力していたという。本庶さんは他にもテニスや英会話、スキーにも挑戦していった。今でも突き詰める姿勢は健在で、趣味のゴルフは必ず週2回コースに姿を現していて、少しでもスコアを伸ばそうと誰よりも入念な準備を行うという。

湊さんは2、3年前の医学部での最後の講義の時にこれまで振り返る講義を行った際に本庶さんが講義室に現れ、最後に労ってもらえると思っていたが、身を乗り出して議論を仕掛けてきたという。一方で、教育者としての本庶さんは年齢やキャリアを問わずきちんと議論してくる人にはきちんと対応するため、ついていくのは大変だが、その分伸びていった学生もいると話した。記者会見の場で若手の育成を強調していた本庶さんは、本庶さんも山中伸弥教授も基礎研究を突き詰めたうえでのブレイクスルーだったため、基礎研究の衰退への危惧を話していた。実際に基礎研究を行う国立大への運営費交付金は13年間で1445億円削減されていて、これは東京大学と京都大学の一年間の交付金を合わせた額に匹敵する。こうしたなか、本庶さんはノーベル賞の賞金を寄付して新たに基金を設立することで、若手の研究者の育成にあてたいという考えを示している。

キーワード
PD-1
ノーベル賞
オプジーボ
枚方(大阪)
肺がん
皮膚がん
本庶佑
胃がん
滋子さん

エンディング (その他)
11:29~

出演者によるエンディングの挨拶が行われた。

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