とことん知りたい!ノーベル賞 2015年12月28日放送回

放送日 2015年12月28日(月) 8:00~ 9:00
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
08:00~

12月10日、ストックホルムでノーベル賞の受賞式が行われた。医学・生理学賞を受賞した大村智さんは、感染症の薬を開発した功績が認められた。また物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、素粒子・ニュートリノに質量があることを発見した。今回、受賞式を前に2人に偉大な発見までの道のりを語ってもらい、若者からの質問にも答えてもらった。大村さんにはオスマン・サンコンが突撃インタビューも!

ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんがスタジオに登場。受賞して、いろんなところで研究の話をする機会をいただくようになったと話した。のちほど、ほかの出演者や若者たちからの質問に答える。

キーワード
ノーベル賞
ストックホルム(スウェーデン)
ニュートリノ
ノーベル物理学賞

とことん知りたい!ノーベル賞 (バラエティ/情報)
08:04~

飛騨市神岡町の鉱山の跡地にあるのが、梶田隆章さんの研究拠点である「スーパーカミオカンデ」。壁には超高感度センサーが取り付けられ、宇宙から降り注ぐ素粒子・ニュートリノを観測する。ニュートリノはあまりに小さく、あらゆるものを通り抜けるが、「スーパーカミオカンデ」では水の分子とぶつかりごくまれに光るニュートリノを観測し、梶田さんはニュートリノが質量を持つことを示す「ニュートリノ振動」を発見し、ノーベル賞を受賞することとなった。

梶田隆章さんのノーベル物理学賞の受賞理由「素粒子ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」を菊地亜美が解説。梶田さんはスーパーカミオカンデでの観測で地球の裏からくるニュートリノの数が少ないことを発見した。そもそもニュートリノには3種類あるが、観測できるのは2種類であるため、梶田さんはニュートリノが変身したのではないかと推測、この「ニュートリノ振動」を観測によって初めて確認したため、ノーベル賞となった。

梶田さんは、ニュートリノは大気中で長い距離を飛ばないと振動せず観測ができないため、地球の裏側を通ってきたものは観測数が少なくなったと解説した。また、もしニュートリノの姿が変わっているということは光よりもゆっくり飛んでいるということで、光のスピードで飛べるのは質量がゼロの場合だけなので、ニュートリノには質量があることが証明できたと解説した。また基本的にこのことは役には立たないが、基礎科学の上に技術や生活が成り立っているので重要になると話した。

梶田隆章さんの研究人生を振り返る。1981年に東京大学大学院に進学した梶田さんは、素粒子の観測をしたいと、のちにノーベル賞を受賞する小柴昌俊教授(当時)の研究室に入った。当時の研究室仲間・中畑さん(東京大学宇宙線研究所教授)や鈴木さん(岩手県立大学学長)は、梶田さんは緻密にデータを解析し真面目に研究を進めていたなどと印象を話した。小柴さんは、最初は目立たない学生という印象だったと明かしている。

1983年、スーパーカミオカンデの前身・カミオカンデが完成し、梶田さんは持ち前の真面目さと緻密さで観測や解析を行い、地球の裏側からのニュートリノの数が少ないことに気づき、ニュートリノ振動を考えるようになる。ところがニュートリノ振動は理論的にありえないこととされ、メンバーからは論文で触れるのは危険と指摘された。しかし小柴さんは「自信があるなら論文にしなさい」と高く評価し、梶田さんは1年がかりで論文を書き上げた。

梶田隆章さんが研究人生を振り返り、小柴昌俊さんは本質を見極める力がすごい、当初はそれぞれ勝手に研究して小柴先生がサポートするという土壌があった、小柴先生は常に学生に「自分の研究の卵を持っていなさい」「我々の研究は国民の血税でやっている」と語っていたと話した。またニュートリノ振動に気づいたときには最初は失敗したのではと思った、プログラムの間違いではないことを確認したあと1年かけていろんなチェックをした、わからないんだけどもしかしたら重要なことではという思いが先行していたと話した。

梶田隆章さんの研究人生を振り返る。カミオカンデを上回るスーパーカミオカンデの建設が始まり、梶田さんは設計や開発を任せられ、特に苦労したのは超純水の製造装置の開発。不純物を徹底的に除去する必要があったが、まったくの専門外の知識を蓄えるところから始めたという。開発に協力した水処理メーカーの望月さんは、自分たちが気づかないような指摘が梶田さんから寄せられたこともあったと明かした。こうしてスーパーカミオカンデが完成、タンクに超純水が満たされ、梶田さんが膨大なデータを解析し、ニュートリノ振動の存在を確信、1998年のニュートリノ国際会議で成果を発表し、ビル・クリントン大統領(当時)が演説で触れるほど世界中で話題となった。

梶田隆章さんが研究人生を振り返り、正直あそこまで世界が認めてああいうことになるとは予想していなかった、専門外であっても自分たちの測定器のことはわかっていないといけない、小柴さんの後を継いだ戸塚洋二先生の功績も大きいと話した。戸塚さんは若くしてがんで亡くなっていて、ノーベル物理学賞は3名が同時受賞できるが、今回は梶田さんとアーサー・マクドナルドさんの2人で、空席になったのはノーベル側の配慮があったの見方もできる。

戸塚さんについて梶田さんは、スーパーカミオカンデが事故を起こしたときに当時代表だった戸塚さんが作り直しを世界に向けて宣言した、危機にひんしたときのリーダーのあり方を教えてくれた、自分も小柴先生や戸塚先生のような人間に近づきたいと話した。

さらにスタジオの若者からの質問に対し梶田さんは、研究室の仲間とは研究のためにずっと一緒で夜になると好きに言いあっていた、楽観的な正確で困難は忘れてしまう、私生活でも酒を飲んだり寝たりしているだけと話した。

ここからは、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智さんの研究を紹介。1975年放送のNHKのドキュメンタリー番組では、当時西アフリカで広がっていた病気「オンコセルカ症」を取材していた。寄生虫が原因で、感染して目の中に侵入すると失明につながる病。この状況を救ったのが大村さんの研究で誕生したイベルメクチン。無償提供が始まり、毎年2億5000万人以上が飲む薬となり、この寄生虫に感染する人はほとんどいなくなった。2004年には大村さんがガーナを訪問し、熱烈な歓迎を受けた。

ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智さんの研究について梶田隆章さんは、2億5000万人を助けているという、ひとつの科学のあるべき姿ですごいと思うと話した。そんな大村さんをギニア生まれのオスマン・サンコンが取材する。

ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智さんと、北里大学(港区)でオスマン・サンコンが対談。サンコンがアフリカでの難病を救ったことについて感謝を伝えると、大村さんは、2004年当時オンコセルカ症が蔓延していたガーナを訪れたときに目が見えない人にも会った、子どもたちがもう目が見えなくならないんだと思い初めて「いいことができた」と思った、祖母からは人間が一番大事なことは人のためになることだと繰り返し聞かされたと話した。

大村さんは韮崎市の農家に生まれ、長男として大事に育てられる。小学時代は地元でも有名なガキ大将だったという。高校、大学ではスキー部に所属し全国大会に出場。その後、研究を始め、土の中の微生物を培養し薬のもとを探し出してきた。半世紀にわたる研究人生で微生物から約500の物質を採取し、25種類の薬が誕生した。大村さんは、自分の領域で誰にも負けない技術や知識を持っていないといけない、究極の目的は人のためになることだと話した。

大村智さんについてトーク。オスマン・サンコンは「日本にきて45年になるが、日本人はすごい」と話すなど、如何に大村智さんがすごいかというコメントが相次いだ。また、梶田隆章さんが産んだノーベル賞のスーパーカミオカンデなどは岐阜県・飛騨市に集まっており、今後はスーパーカミオカンデを超えるハイパーカミオカンデを作ることが構想されている。そんな中、kAGRAは今年度運用を開始する。

岐阜・飛騨市には山の中、深さ数百メートルの地中に長さ3キロのトンネルが2本直角に交差している。ここに作られているのが「kAGRA」で、重力波の天文学をすすめる望遠鏡だという。重力波はA・アインシュタインが存在を予言したものの、だれも観測したことがなく、強い時空の歪みだとされている。

梶田隆章さんが重力波について解説。1か所だけで観測してもどこから重力波が来たものか分からないため、観測を協力しあう事で位置を特定することが出来るのだという。また、来年から「kAGRA」で仕事をするという大学4年生の和田さんはトンネルの暗い中での作業なため、心が暗くなる事を心配していたが、梶田さんは心は暗くならないと答えた。

大村智さんと梶田隆章さんについてトーク。西田ひかるは2人の共通点について「これは育てて行こうという思いが強く、妥協しない事」だとの考えを話し、ノーベル賞の奥が非常に深いとした。最後に梶田隆章さんは続けられるコツについて「自然の姿を知るための好奇心」だと総括した。

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