魔法の映画はこうして生まれる〜ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション〜 2014年12月7日放送回

放送日 2014年12月7日(日) 0:50~ 2:05
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
00:50~

2014年10月23日に行われた東京国際映画祭にディズニー・アニメーション・スタジオの製作者達が、アナと雪の女王の次回作として作られた「ベイマックス」を引っさげてやってきた。ベイマックスは日本から着想を得た作品。製作総指揮を務めるジョン・ラセターは世界の映画会で注目されている1人でディズニーとピクサーで作品作りを率いている。今回、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオを取材、世界を魅了する映画の創作の秘密を探る。

キーワード
ベイマックス
トイ・ストーリー
塔の上のラプンツェル
アナと雪の女王
ディズニー・アニメーション・スタジオ
東京国際映画祭

魔法の映画はこうして生まれる~ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション~ (バラエティ/情報)
00:54~

カメラの持ち込みが禁止されているウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオに初めて日本のカメラが入った。スタッフはおよそ800人、常に3本ほどの長編アニメーションが1年に1本の割合で公開されている。新作「ベイマックス」は兄に支えられて育ってきた少年が兄を巻き込んだ爆発事故の謎をケアロボット・ベイマックスと追うストーリー。

ベイマックスが空手を披露するシーンでジョン・ラセターはスタッフ達にアイディアを提案し、スタッフ達にアイディアを求めた。ジョン・ラセターは「観客が夢中になるような予測のつかない物語を作りあげる」、「登場人物が魅力的である、悪役であっても魅力的に」、「ストーリーもキャラクターに真実味があること」というヒット映画三原則を掲げていた。

映画の重要なキャラクターであるベイマックスは、何よりも”愛らしさ”が追及されており、よちよち歩きの赤ちゃんやペンギンの赤ちゃんが参考にされている。監督達は映画作りのリサーチのため日本を訪れ、神社の鈴をヒントにベイマックスの顔を作り上げていた。

映画は最初は手描きの絵から始まり、大きく12の工程を経て映像が完成していく。ここには様々な技術を持ったスタッフが関わり、どんな作業をしているのか現場へと潜入することにした。

映像作りはストーリー・アーティストと呼ばれる人の仕事から始まる。完成した脚本を元にシーンを絵にすることで、登場する人物がどんな人間なのかを表現していく。そしてこの絵を並べ、台詞や音楽をつけたものが「ストーリー・リール」。この段階での絵は大まかだが、これが映像の土台になるのだという。

キャラクターの基本の動きや表情を設定するリギング・アーティストは、人体解剖学に基づき、骨や筋肉の構造にそった動きを作成。細かい操作でキャラクターに命を与えていく。

動きの基本が決まると、アニメーターがキャラクターに演技をつけていく。自らキャラクターの動きを演じ、それを参考にすることで、細かい動きで気持ちを表現するのだという。更にレイアウト・アーティストは実写映画におけるカメラマンの役割を担っており、街を舞台にしてどんな角度で撮影するのかを考えている。

画面の中の光を操るライティング・アーティストは、湿気や大気の状態を入力できる新型のソフトを開発。水たまりの反射や滲んだ明かりなど、よりリアルに表現出来るようにした。

爆発や泡などの特殊効果を担当するエフェクト・アーティストは、エフェクトの長さや色、角度などを自在に操ることが可能。テクニカル・アニメーターは生地や髪の毛など表面の質感を作りこみ、小道具などを細かく作るチームも存在している。そして3週間後、製作途中の映像を特別に見せてくれた。

ディズニーでは手書きの名作を描いてきたベテランアニメーターを、CGアニメーションの現場で大事にしている。手書きの名手が絵について様々な助言をすることで、生きているようなリアリティをキャラクターに与えるのだという。

ピクサー・アニメーション・スタジオのオフィスには、となりのトトロに登場する猫バスが置かれていた。ジョン・ラセターは宮崎駿監督を深く尊敬しており、彼の作品の大ファンであるという。

ラセターは来日の度に宮崎駿を訪ねており、彼は自分の人生とキャリアに最も大きな影響を与えた1人であると語った。宮崎駿にとってもラセターは大事な友人であり、父親として恥ずかしく無いものを作りたいという。

ラセターさんが映画作りで何より大切にしているものをピクサー・アニメーション・スタジオで見せてもらった。ハリウッドで最高の栄誉と言われるアカデミー賞のオスカー像ではなく、ボロボロになったウッディの人形だという。肌身離さず遊んでくれた6歳の子供が、壊れてもずっと捨てられずに新しいウッディ人形を買ってもらった機会に持ってきてくれたものだという。ラセターさんはアニメーション映画を作り続ける理由はここにあると話し、自分たちが生み出した架空のキャラクターが映画を見た子供たちの中で本物になり、映画を見た後でもずっとそばにいたいと思ってくれることのために頑張るという。

映画の追い込み時期になり、ラセターさんはとくに気になるシーンの試写にだけ立ち会う。ラセターさんは重要なシーンで主人公の感情についてアドバイスをし、仕上げは任せてその場を去った。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで新作映画の舞台裏を密着取材。およそ500人にものぼるCGの制作スタッフたちは連日、新しいシーンと格闘していた。最後の最後まで映画を魅力的にしようと粘り抜くスタッフたちは、ラセターさんが蘇らせたスタジオの伝統だという。

2006年、ディズニーからラセターさんに現場のトップとして映画作りを率いて欲しいと依頼された。盟友のエド・キャットムルさんが新社長に就任し、ラセターさんはピクサーとディズニーでアニメーション作りの統括責任者となった。しかし、当時のディズニーは深刻な状況に陥っていて、アニメーション部門はCG化への転換が上手くいかず、閉鎖するといった声まで挙がっていた。映画作りは経営陣主導で、制作現場は活力を失っていた。

ピクサーとディズニーでアニメーション作りの統括責任者となったラセターさんは、ピクサーで培ったやり方をディズニーにも持ち込む。他の映画のスタッフも交えたストーリー作りの会議、自由にモノが言える雰囲気作り、スタッフたちに『主役は君たちだ。経営者が映画を作るんじゃない。クリエイターが作るんだ』と訴えた。その後、ディズニーはCGアニメーションで見事な復活を遂げ、90年前に出来た老舗のスタジオが世界でも最先端の映像作品を作る場所に生まれ変わった。

同時にラセターさんは魅力溢れる映画を作るための環境作りに力を注ぎ、ピクサー・アニメーション・スタジオのオフィスの中心に大きなカフェを設けて会社らしくない楽しげな空気を作った。アニメーション部のオフィスはどんな飾り付けも許されていて、クリエーターの自由を何よりも大切にする会社であることを象徴している。

ピクサーという場と力強い仲間を得たラセターさんは、34歳の時に世界初のフル3DCG長編映画「トイ・ストーリー」の監督に挑む。製作開始から4年、「トイ・ストーリー」は世界中で大ヒットを記録した。ラセターさん率いるピクサーのチームは3DCGを駆使し、次々とヒット作を生み出していく。

幼い頃からディズニーアニメーションの虜だったラセターさんは、芸術大学でアニメーションを学ぶとディズニー・アニメーション・スタジオに入社。ラセターさんは手描きを極めたベテランアニメーターの薫陶を受けながらいくつかの作品に参加し、ディズニーの伝統に触れながらアニメーターとして着実に腕を磨いていった。転機を迎えたのは24歳の時で、友人が見せてくれた新作映画「トロン」に衝撃を受けた。この技術を使ってアニメーションを作りたいと思ったが、当時のディズニーのアニメーション・スタジオの経営陣はラセターさんの提案に耳を傾けようとしなかった。そんな時に契約を終了すると通告され、失意の日々を送る中でCGアニメーションの先駆者と知られるエド・キャットムルさんが声をかけてくれ、ラセターさんはCGアニメーションの短編作りに没頭。そんな時に出来たのが「ルクソーJr.」(1986年)で、この年にラセターさんたちはピクサー・アニメーション・スタジオを創立。そこに投資家として加わっていたのがスティーブ・ジョブズさんだった。

カリフォルニア州ソノマ、ラセターさんはどんなに多忙でも休日は自宅で過ごすという。妻・ナンシーさんと5人の子どもたちの時間は何よりの安らぎで、自宅の庭にはディズニーの大先輩から譲り受けた蒸気機関車を修復して走れるようにしていて、ラセターさんが敬愛するウォルト・ディズニーも蒸気機関車が大好きだったという。ウォルト・ディズニーが作り出す作品に導かれ、ラセターさんはアニメーションの世界に飛び込んだという。

映画の冒頭部分の脚本は未だに出来上がっておらず、映像は全体の3割程度しか完成していない。ストーリールームではノート・セッションという会議が開かれ、誰もが立場や役職に関係なく物語を面白くするための意見を言い合う。徹底した議論を経てディズニー作品は生み出され、アナと雪の女王も同様にして生まれた物だった。

アナと雪の女王の当初の脚本では、王子がアナにキスをするけれども、何も起こらずに愛していないことを告白するものだった。しかし監督の女性陣は、酷い男というものはキスせずに後ずさりをする男であると反論。その案を採用したラセターは、観客の表情を見ることで、描きたい物が描けたことを確信できたという。

最新作「ベイマックス」のストーリー会議は場所を移して行われた。気持ちをリフレッシュさせるのが狙いで、スタッフはそれぞれ意見を述べるがなかなか結論が出ない。そんな時、ずっと黙って話を聞いていたラセターさんのアドバイスで暗礁に乗り上げていた会議が動き出し、ストーリー作りが前に進み始めた。

4月、ディズニー・スタジオの中枢部で映画の脚本が練り上げられていた。ここには限られた人しか入ることが出来ず、多くの監督・プロデューサーが脚本の内容を考えている。

ディズニー・アニメ最新作「ベイマックス」は完成の日を迎え、10月18日にハリウッドのドルビー・シアターでスタッフを集めて披露試写会が行われた。上演を前にラセターさんは全スタッフを前に、「ひとりひとりを誇りに思っている。あなたたちこそウォルト・ディズニーの遺産を引き継ぐ人たち」と語りかけた。

キーワード
ベイマックス
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
美女と野獣
アラジン
リトル・マーメード
となりのトトロ
ピクサー・アニメーション・スタジオ
宮崎駿監督
アカデミー賞
ウッディ
エド・キャットムル
ピクサー
ディズニー
塔の上のラプンツェル
アナと雪の女王
シュガー・ラッシュ
トイ・ストーリー
モンスターズ・インク
ファインディング・ニモ
スティーブ・ジョブズ
トロン
ルクソーJr.
ミッキーのクリスマスキャロル
ディズニー・アニメーション・スタジオ
シンデレラ
ピーターパン
白雪姫
バンビ
ソノマ(アメリカ)
ピノキオ
蒸気船ウィリー
ウォルト・ディズニー
ジェニファー・リー監督
クリスティン・アンダーソン=ロペス
ドルビー・シアター

スポット

この番組で紹介されたアイテムは登録されていません。
  1. 前回の放送
  2. 12月7日 放送