NHKスペシャル 揺らぐアメリカはどこへ 混迷の大統領選挙

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2016年11月9日(水) 0:10~ 1:00
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
00:10~

アメリカ大統領選挙のテレビ討論会を視聴しようと、ある一室に多くの若者達が集まっていた。民主党のヒラリー・クリントン氏がドナルド・トランプ氏の女性蔑視に言及すると、トランプ氏はなんて嫌な女だと一蹴。その言い争いを視聴していた若者らは笑い飛ばしていた。だがある女性はどちらかが大統領になることを想像すると、渋面を浮かべた。アメリカの理想を語る舞台だったアメリカ大統領選挙でトランプ氏は過激な発言を繰り返し、人々の心奥に沈殿していた怒りと不満が噴出。揺らぐアメリカはどこへ向かうのか。

キーワード
ヒラリー・クリントン氏
ドナルド・トランプ氏
オバマ大統領
共和党
民主党
アメリカ大統領選挙

揺らぐアメリカはどこへ 混迷の大統領選挙 (バラエティ/情報)
00:12~

アメリカ大統領選挙の投票まで残り3日と迫っている。本命視されるクリントン氏に対して、トランプ氏は社会のタブーに触れる排他的な発言を繰り返しながら、建前だらけの既存の政治はたくさんだと主張してきた。そうした主張に共鳴する人々がいて、アメリカが依拠してきた資本主義、移民社会といった価値観が揺さぶられている。大越健介キャスターは8年前にオバマ大統領が掲げたチェンジから遡ると伝えた。

アメリカ・オハイオ州のトランプ氏の集会を訪れた大越キャスターは口々にチェンジを訴えていた支持者を発見した。オバマ大統領が変革を呼びかけた時とは異なる高揚感がそこにはあった。伝統的に民主党の地盤だったが選挙戦を通して共和党員が激増したのがオハイオ州ヤングスタウンで、リック・パップさん(62)は40年以上に渡って製鉄所で働いてきた。8年前はオバマ大統領に投票したが、今回はトランプ氏が掲げるチェンジが救いの手に感じているという。この地域はアメリカの鉄鋼業を支えてきたが中国などからの安い輸入品に太刀打ちできず、4年前に工場は閉鎖。パップさんは離婚し、3人の娘はヤングスタウンを離れた。グローバル化によって人生を奪われたと感じている。

全米の製造業の雇用はこの15年で3分の1が失われた一方、経済格差は著しい。パップさんは「中間層はもはやおらず、富裕層と貧困層しかいない。チェンジが必要なんだ」と訴える。

グローバル化に取り残されて白人中間層が失われた町では麻薬が蔓延るなど治安情勢が悪化し、臨場した警察官は大量のヘロインを発見した。事情聴取を受けた白人男性はハイになった状態で子供を迎えに行くところだったという。アメリカでは10分に1人が薬物中毒で命を落とし、白人の死者は急増している。中年男性の10万人あたりの死亡率を示したグラフではアメリカの白人が突出していた。生活への不安が高まったことが背景にあるという。リック・パップさんの妹であるシンディさんの夫は失業してまもなくアルコール依存症となり、死亡した。シンディさんも幻聴に悩まされ、パップさんが毎日、確認に訪れている。

トランプ陣営で戦略戦略を立案したマット・ブレイナード氏は調査会社を通じて入手した膨大な住民データに着目した。既婚者か未婚か、住んでいる家の価格、購読する雑誌などの個人データから白人の労働者層を掘り起こし、陣営は投票の頻度が低い労働者層の中にこそ支持者が潜んでいると目をつけた。経済的に困窮していればいるほど、トランプ氏の主張に共感したという。

トランプ陣営はグローバル化に取り残された人々の変革の叫びを巧みに掬い取り、大きなうねりを起こした。

民主党のヒラリー・クリントン氏は特権階級の資本主義の象徴と捉えられ、苦戦を強いられてきた。選挙戦に投資家のウォーレン・バフェット氏が応援に駆け付け、ウォール街から多額の献金を受けるクリントン氏は既得権益の側にいると揶揄されている。さらに私用のEメールアドレスを公務で使用していたことが判明し、信用に欠けるとのイメージが広がっていた。

大越キャスターが訪れたオークランドの広場では今年5月、民主党のバーニー・サンダース氏の演説が行われた。既に選挙戦からの撤退が決まっていたが、2万人の若者が詰めかけた。同氏は特権階級の資本主義によって格差から若者が抜け出せていないと訴え、熱烈な支持を集めた。

サンダース氏の人気が高かったのがアメリカ・シカゴで、9月にイリノイ大学では学費高騰に抗議する集会が開かれた。アメリカの公立大学の授業料は15年で2倍に跳ね上がり、クリントン氏は学費の軽減策を打ち出したが、若者たちは疑問を呈している。25歳のトロイ・アリームさんは特権階級の側にいるクリントン氏が大統領になっても我々の境遇は変わらないと見解を語った。

08年のリーマンショックで大卒の若者への求人は低賃金の職種ばかりが増え、昨年度の学生ローンの残高は約130兆円にのぼった。1人あたり平均360万円だという。アリームさんは全米有数の大学に進学するも親が職を失い、多額の学費を返済できる職にはつけないと考えて中退を決断した。現在は仕事を掛け持ちしているが月収は約15万円で、生活費を切り詰めるために親戚の家を転々としている。今、若者の半数はアメリカンドリームを信じないと答えていて、アリームさんも愛国者に仕立て上げるための捏造されたプロパガンダだと指摘。

テレビ討論会が開かれた夜、アリームさんは若者たちを集めてパーティーを企画。大統領候補に期待できないなら笑い飛ばしてしまうというのが狙いで、両候補がよく使用する言葉が使われたら印をつけていくビンゴ大会も催された。討論会で若者の教育、未来については一言だけ言及した程度で、若者と政治との溝がかつてないほど広がっていることが浮き彫りとなった。

元労働長官のロバート・ライシュ氏は「トランプ氏がよく口にする特権階級の資本主義という言葉は資本主義がエリートのためだけに機能しているという意味で、サンダース支持者の主張と同じ」と指摘した。そして、、「かつての政治の対立軸は保守VSリベラル、小さな政府VS大きな政府だったが、既存の政治はもはや信じられていない」とコメント。富裕層が政治の力まで独占し、民主主義が病んでいるとして変革の必要性を訴えた。

大越キャスターは「移民国家のアメリカでは反移民感情が高まり、取材を進めると難民に手を差し伸べることががあるのなら、自分たちの暮らしをなんとかして欲しいとの切羽詰まった声を数多く聞く」とコメント。

アメリカでは白人たちによる反移民感情が噴出していて、その引き金がトランプ氏による不法移民を締め出すという主張だった。移民を積極的に受け入れているペリー高校では隣町の高校とバスケの試合が行われ、相手校の白人生徒からドナルド・トランプという声が沸き起こった。また、アメリカに不法に国境を超えてくる若者は年間35万人にのぼるとみられ、アメリカで生活する不法移民の数は1300万人を超えた。2055年には白人が増える一方、中南米出身のヒスパニックの人口が23%に達する見込み。

アメリカ・アイオワ州で30年近く続いている朝のラジオ番組にはトランプ氏が大統領候補になってから移民に対する不安が次々と寄せられている。熱心なリスナーであるヘイヤー夫妻は移民によってアメリカの国の形が変わってしまうと危機感を募らせている。夫妻は家計をやりくりして3人の子供を大学まで通わせたが支払った授業料の20%が移民の生徒の支援に使われ、納得できないと感じていた。ナンシーさんは不法移民は国の重荷だと話す。現在、夫妻はトランプ氏の選挙運動に参加し、移民問題に関して同じ考えを持つ有権者と出会った。

トランプ氏に触発された移民への反発は不気味な広がりを見せ、極端な白人至上主義者が擡頭。長年に渡って人種差別を行う団体を監視してきた南部貧困法律センターによると、オバマ大統領の就任直後から白人の愛国主義団体は急速に増えていて、トランプ氏の登場によって人種差別的な事件が相次いでいるという。同センターのポトック氏は「トランプ氏は差別主義者が公の場で大っぴらに語れるようにしてしまった」と指摘。

オバマ大統領就任直後、アメリカでは変革を展望していた。だがリーマンショック以降、経済を支えてきた中間層が衰退し、学生ローンの返済に喘ぐ若者が増えた。今回の大統領選を通じて人々の不満や怒りは噴出し、その後の社会にどう作用するか見通すことも難しい。選挙戦終盤となったなか、女性問題が相次いで暴露されたトランプ氏の支持は揺らぐことはなく、移民・難民の増加によるさらなる危機を煽った。そして、同氏が引き起こした排外主義は世界をも巻き込み、トランプ氏の30年来の盟友であるジョージ・ロンバルディ氏はヨーロッパの極右政党と相次いで接触している。

トランプ氏がこれまでに接触したのはイギリス独立党のファラージュ元党首、フランス国民戦線のルペン党首でトランプ氏の思想に共感している。ロンバルディ氏はトランプが敗北してもトランプ現象は続くだろうと分析。世界が固唾を呑んで見守るアメリカ大統領選挙は最終局面に入っても予断の許さない戦いが続いている。

キーワード
ヒラリー・クリントン氏
ドナルド・トランプ氏
共和党
民主党
アメリカ大統領選挙
オバマ大統領
オハイオ州(アメリカ)
ヘロイン
ウォーレン・バフェット
オークランド(アメリカ)
バーニー・サンダース上院議員
シカゴ(アメリカ)
イリノイ大学
リーマンショック
テレビ討論会
ペリー高校
テキサス州(アメリカ)
アイオワ州(アメリカ)
移民
南部貧困法律センター
難民
ファラージュ
ルペン党首
イギリス独立党
フランス国民戦線

エンディング (その他)
00:58~

エンディング映像。

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