NHKスペシャル 2015年5月27日放送回

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2015年5月27日(水) 0:10~ 1:24
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
00:10~

安倍首相は、集団的自衛権の後方支援を可能にし自衛隊の活動を大幅に拡大するものとなっている安全保障関連法案を国会に提出した。作家・大江健三郎さんなどこの動きに反対する動きも始まっている。自衛隊は戦争放棄を定めた憲法9条との関係が常に問われてきたが安保闘争や、PKO国会など節目ごとに議論が巻き起こってきた。そして今、北朝鮮や中国に加え国際社会を脅かすテロがある中安全保障の問題について討論する。

キーワード
集団的自衛権
自衛隊
安全保障関連法案
安保闘争
PKO国会
大江健三郎さん
安倍首相

自衛隊の活動はどこまで拡大するか (バラエティ/情報)
00:12~

今回は中谷大臣と専門家のみなさんに自衛隊の活動拡大について賛成反対両方の立場から討論してもらう。NHKの世論調査では安倍内閣が進めている安全保障法制の整備について理解しているが45%、していないが49%でまだ理解が十分浸透していないことが伺える。

自衛隊の活動拡大につながる今回の安全保障法制に関連するのは、11の法律である。新法である国際平和支援法案と、改正案である自衛隊法など10この法律を改正するもので、これをまとめて平和安全法制整備法案としている。政府はこの法案を国会に提出し夏までに成立させたいとしている。中身は目的により日本の平和と安全に関わるものと、国際社会の平和と安全に関わるものの2つに分けられ、特に大きな柱は、集団的自衛権の行使、外国軍隊への後方支援となる。

中谷は、国民を守ることは政府の責務でありそのため今までの法律を時代に合わせ修正していくと述べ、世界中で起こった出来事が我が国の安全保障に大きな影響もあると話した。今回の安全保障法制の整備に反対の立場である柳澤は、あらゆる事態に対応すべきだがそれが全て自衛隊の役割というわけでもない、また武器の使い方が変わることが一番問題だと語った。

拓殖大学特任教授・森本は、アメリカがリバランス政策を行っている中で役割を果たすというものが安全保障関連法案のもう1つの目標だと思うと話した。首都大学准教授・木村は政府は自衛隊について何ができ、何が出来ないのか明確に判断する基準が示せていないこと、活動範囲が広がりリスクが増えるが危険があるが覚悟が示されていないと述べ賛成できないとした。

自衛隊の後方支援とは、武力を行使している外国軍隊に物資の補給や輸送、支援をする活動。現在、日本の平和と安全のための後方支援については周辺事態法で定められているがこれは1998年に北朝鮮が発射したテポドンにより東アジアの緊張が高まり制定された。周辺事態法で主に想定されていたのは、朝鮮半島有事でアメリカ軍に対し自衛隊が後方支援できるようにするものだった。

周辺事態法の周辺について政府は地位的概念ではないと説明。1999年当時、高村外相は一定の地域を特定して示すことはできないと述べていたが、小渕首相は中東、インド洋、地球の裏側はないと答弁し自衛隊の活動地域には制約があるとしてきた。しかし、今回の法整備ではそれを変えようとしている。

今回の法整備で周辺事態法は重要影響事態法という名に変わる。自衛隊が後方支援を行うところは、地理的制約がないことを明確にしている。後方支援の活動範囲についての視聴者の意見として、アメリカと共に戦争する国になるのではというものや、活動範囲を広げることは必要不可欠だというものが紹介された。

中谷元は、我が国の平和と安全に関わることであるため地域をあらかじめ特定しておくことはないため周辺ちう言葉を外し重要影響事態法としたと述べた。首都大学東京准教授・木村は安全に重要な影響を与えるだけでは不明確で詳細な基準を示してほしいと話した。拓殖大学・森本は、歯止めについて日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍で実施区域も防衛大臣が指定することになっているため、無制限無成約に自衛隊が地球のどこでも行くわけではないとした。

元内閣官房副長官補の柳澤協二氏はインド洋でテロ行為を放置すれば日本に対する武力攻撃に繋がる恐れはなく、地理的制約がない重要影響事態法は日米共同のオペレーションができるという点が本質と思っているとコメント。スタジオには視聴者から弾薬の提供に関する意見が寄せられ、木村草太准教授は武器の供与はしないが弾薬の提供ができるというのは曖昧で、日本自身の武力行使に繋がるのではと質問。中谷元大臣は武力行使の一体化ではなく、後方支援だと返答した。柳澤協二氏は米軍には豊富な弾薬があり、自衛隊から弾薬供給を受けることはないだろうと語った。だが仮に弾薬の提供を前線部隊に行うにあたってはリスクがあるなどと懸念すべき問題を挙げた。

森本敏特任教授はスーダンで自衛隊は韓国軍から弾薬の提供を要請され、一時的に提供した事例があると説明。また森本特任教授は弾薬は銃弾だけに留まらずミサイルも含まれ、弾薬の提供は広範囲に捉えるべきと語った。また、政府は国際社会の平和と安全のための後方支援について、新たに国際平和支援法案を国会に提出した。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件を機に、自衛隊の後方支援が始まった。政府はテロ対策特別法、イラク支援法を制定し、自衛隊の活動範囲は非戦闘地域に限られているので武力行使との一体化には当たらないとした。だが今回の国際平和支援法案では自衛隊の活動範囲は現に戦闘行為が行われている現場以外とされ、その地点で戦闘行為が発生、もしくは予見できる場合は活動を休止するとしている。中谷元大臣は従来と今回の法案の違いについて、柔軟性を持って期待された活動が出来る点と説明した。戦闘行為が発生すれば自衛隊による活動の一時休止や変更も行うという。

森本敏特任教授は国際平和支援法案において自衛隊が戦闘行為が行われている現場以外で活動するにあたって、相当な情報収集、大臣の柔軟な対応がポイントとなると説明。柳澤協二は上記の法案は多国籍軍協力と述べ、従来とはリスクが違うとコメント。中谷元大臣は自衛隊を派遣する際には国会の事前承認が必要で、安全に活動ができるか支援の必要性や活動期間、部隊規模なども熟慮すると説明。木村草太准教授は2008年にイラク派遣に関して名古屋高裁が活動の一部を違憲とする判断を下していることを挙げ、事が終わった後に憲法を遵守したのかを検証する仕組みは不十分と考えている。大臣自身は憲法違反は無かったと思うコメント。

森本敏は重要影響事態法における自衛隊の後方支援、国際平和支援法案における後方支援との違いに国連安保理決議があると指摘。前者は日本の問題なので外国軍部隊に活動支援ができるが、後者は国際社会の問題や国連安保理決議など国連の活動が関わってくるという。

中谷元大臣は自衛隊は前線から離れた地点で外国軍部隊の後方支援を行うので、実施に際しても安全を十分に配慮すると説明した。政府は恒久法として国際平和支援法案を国会に提出した理由に、その都度、国会審議して制定する特別措置法よりも自衛隊を迅速に派遣するためとしている。そして例外なく国会の事前承認を得ることを義務付けていて、これを巡ってスタジオでは視聴者からの賛否両論な意見を紹介した。更に木村草太准教授は事後的な検証、活動中に外部による確認なども必要だと指摘した。

これまでに日本は自国が攻撃された場合、反撃するという個別的自衛権は日本国憲法上で行使ができるとしてきた。一方で同盟国に対する攻撃を武力を以って阻止することが集団的自衛権で、昨年7月に安倍政権は従来の憲法解釈を変更。集団的自衛権を行使容認とする閣議決定を行った。また集団的自衛権が行使容認とする事態を存立危機事態と定義している。スタジオではこの集団的自衛権、存立危機事態に関して視聴者からのご意見を紹介した。

中谷元大臣は存立危機事態の定義について説明し、森本敏特任教授はこの集団的自衛権なるものは国際法上の集団的自衛権の概念とは違うと指摘。木村草太准教授は日本国憲法には軍事権の規定はなく、自衛隊の活動は防衛行政か外交協力の範疇で行わねばならないと語った。とすれば存立危機事態も防衛行政や個別的自衛権の範囲内で解釈する必要がある。

森本敏特任教授は集団的自衛権と個別的自衛権の違いについて挙げ、柳澤協二氏は国会審議で概念の違いをハッキリさせる必要があると語った。この集団的自衛権の行使が可能な例として、安倍首相はホルムズ海峡での機雷掃海活動を挙げている。

日本へ原油を輸送するタンカーの多くはホルムズ海峡を通過していて、仮に紛争が発生し機雷が敷設されるとタンカーの航行に影響を来たす。武力紛争中に機雷を掃海することは国際法上で武力紛争にあたるとされる。遠く離れた日本は武力攻撃を受けているわけではないが、安倍首相は深刻なエネルギー危機で存立危機事態になり得るとして集団的自衛権の行使容認を可能にすべきとしている。柳澤協二氏は存立危機事態を発生しないために政府として様々な手立てはあり、政策の優先順位も含めて議論をする必要があるなどと語った。

中谷元大臣は日本は中東から石油を8割輸入していて、紛争や機雷敷設の影響で輸入されなければ深刻なエネルギー危機に陥ると説明。この状態が長期間に渡って続ければ国民生活、経済としても死活問題になるとして、集団的自衛権に基いて機雷掃海の必要性があると語った。木村草太准教授は首相が機雷掃海に拘泥することがよく分からず、武力行使の中には空爆や軍の派遣があるのでホルムズ海峡での機雷掃海という例はミスリーディングと思うとコメント。

中谷元大臣は武力行使の新3要件について説明し、これが全て満たされなければ集団的自衛権は行使されないと説明。逆に言えば、日本が攻撃を受けていなくともこの3要件に合致すれば攻撃を行うこともある。柳澤協二氏は明確な基準が示されなければ政府の判断にかかってしまい、それが無ければ欠陥の法律と指摘。森本敏特任教授は新3要件を含む具体的な例を指し示すことは国際政治において難しく、説得力のある例がなかなか思い浮かばないのではとコメント。

木村草太准教授は集団的自衛権を巡って説明が曖昧だと述べ、中谷元大臣は今後の国会で質問があればお答えしていきたいとコメント。柳澤協二氏は今考慮すべきは中国とどう向き合うかとし、森本敏特任教授は国会の審議を通じて集団的自衛権の理解が広まることに期待していると語った。木村准教授は個別的自衛権以外は許されないという憲法論と政策論をきちんとわけて議論を見る必要があるとコメント。

スタジオで松村正代アナは視聴者から寄せられたご意見を紹介。中谷元大臣はあらゆる事態が発生しても政府は国民の命と平和な暮らしを守らなければならず、それに適切に対応できるような法律を制定するとコメント。柳澤協二氏は自衛隊が危険な任務につくので安保政策は数の力だけで国会を通してはいけない法案、森本特任教授は自衛隊の体制の整備が大切だと語った。

キーワード
自衛隊
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