NHKスペシャル メイド・イン・ジャパンII(2)新成長戦略 国家の攻防

『NHKスペシャル』(エヌエイチケイスペシャル)は、NHKのドキュメンタリー番組。略称は「Nスペ」。単発のドキュメンタリーを制作・放送していたNHK特集に代わり、1989年4月2日放送開始。原則、毎週日曜日の21:00 - 21:50に放送するが時間枠を拡大したり他の曜日・時間に放送することもある。再放送は、火曜・水曜深夜。多くはハイビジョン放送である。本項では前身である『NHK特集』(エヌエイチケイとくしゅう)についても記述する。

出典:goo Wikipedia

放送日 2013年5月16日(木) 1:39~ 2:38
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
01:39~

経済産業省の大臣執務室で日本の成長戦略づくりが大詰めを迎えていた。精密な部品を作る最新技術を成長戦略に活かそうと検討されている。3Dプリンターは紙に印刷するようにして立体を作る。しかしアメリカもこの装置で製造業復活を目指している。ドイツは先端産業の育成に力を入れる。日本は製造業の競争力を高める政策を打ち出せるのか。

キーワード
茂木経済産業相
3Dプリンター
安倍首相
メルケル首相
成長戦略

第2回 新成長戦略 国家の攻防 (バラエティ/情報)
01:43~

上田早苗が「日本はバブル経済崩壊後は後ろ向きな政策しか打てなかったが明るい兆しが見えてきた今逆襲の政策が効果的に打てるかが重要だと説明。アメリカはメイド・イン・アメリカを復活させた。韓国は未来創造科学省を新設。中国はメイド・イン・チャイナを高度化している。日本は6月に成長戦略を策定。

アメリカは3Dプリンターを製造業復活の切り札に位置づけている。ヒューレット・パッカードやボーイングなどが3Dプリンターを活用している。3Dプリンターは取り込んだデータを元に層を積み重ねて金型を使わずに立体を作る。大量生産には向かないが試作品や特注品に使われる。オバマ政権は3Dプリンターを活用した国家プロジェクトを立ち上げた。

その国家プロジェクトの中心的役割を担う3Dシステムズを取材。3Dシステムズは装置の製造だけでなく装置を使った製品作りに乗り出している。

ドイツは世界に先駆けて3Dプリンター技術に注目。5年前に州政府・企業・大学が3Dプリンターに特化した研究機関をパーダーボルン大学に設置。多量生産ではない分野で新しい部品を生み出している。

日本の経済産業省で菅原郁郎が3Dプリンター技術について茂木経済産業相に説明。金型産業を担当する菊田逸平さんは茨城・笠間にあるキヤノンモールドを訪問。金型は1つ1つ職人が作っている。キヤノンモールドでは試験的に3Dプリンター装置を導入。職人でも作れないような複雑な金型ができていた。菊田さんは3Dプリンターがいつか職人ワザに追いつくのではないかと懸念している。

菊田さんは3Dプリンターを使って取り引きを拡大している神奈川県小田原のコイワイを訪問。大手メーカーの試作品を3Dプリンターを使ってこれまでより精巧に作っている。 金属を知り抜く企業ならではのノウハウが3Dプリンターの活用でも生かされる。菊田さんは経済産業省内の政策企画委員会で3Dプリンターを活用する成長戦略について報告。菊田さんは3Dプリンター装置の開発も産官学で取り組む必要があると主張した。

有馬デスクは3Dプリンターは製造業が強い国は競争力をさらに上げることができ基盤が弱い国は出遅れを解消できると解説。世界の工場では、中国は各地に3D技術開発センターを建設。南アフリカはチタンを使った高性能3Dプリンターを開発。坂田一郎教授は「政策同士が競い合う時代」だと解説し「ターゲットを絞って攻めないと必ず負けてしまう」と指摘。世界中が製造業を重視した政策なのは製造業は雇用をたくさん生み出すため。格差の縮小にもつながる。半導体では、1990年のシェアは日本企業が上位を占めたが2012年にはアメリカ企業が上位になり日本のシェアが減った。

日本の半導体産業がかつて世界トップになった背景には国の産業政策があった。1970年代に国は半導体開発に300億円を投じた。80年代に入り日本のシェアは急上昇した。当時日米貿易摩擦が激しさを増した。アメリカは日本に危機感を強め特定の分野を優遇する不公正なものだと批判。その一方でアメリカは巻き返しに向けた戦略を練り上げた。1993年、アメリカは半導体シェアで日本を抜き返した。

元韓国産業資源省のペク・マンギ氏は「日本の半導体産業が日米の協定に縛られている状況の中で、韓国の半導体メーカーはアメリカ市場そして世界市場を思い通り開拓できるようなとても自由な環境に置かれるようになりました」と語った。その後、大規模な設備投資を続けサムスン電子が躍進。背景には法人税率引き下げなど国が企業の競争力を高める政策を打ち出したこともあった。

台湾は業界の常識を覆すような戦略に打ってでた。工業技術研究員院では本格的な半導体研究に取り組んでいた。開発・設計・製造・販売まで半導体メーカーが手がけていた従来に対し、製造だけに特化した戦略を打ち出し、世界中から製造を請け負って圧倒的な製造量を確保しコストを下げる狙い。TSMCは今では世界有数の生産量。

経済産業省情報通信機器課は経営難に陥った半導体メーカーを救済する異例の判断を下した。半導体メーカー・ルネサスエレクトロニクスは8年連続の赤字。ルネサスは自動車向けのマイクロコントローラー(マイコン)で世界トップシェア。マイコンは日本の車づくりに欠かせない半導体。官民ファンドは約1400億円投資。トヨタや日産なども出資し再建を図ることにした。ルネサスは自動車用半導体に集中し、台湾メーカーと提携しコストを削減。

坂田一郎が、現役官僚時代に参加した日米構造協議について解説した。アメリカが経済外交という形で日本の攻勢を抑え、自らの競争力を強化するという構造をアメリカが賢く作ったとした。アメリカの経済外交力は強く、半導体も自動車も大きな市場はアメリカであり商売ができないと大きなダメージ、といった理由から日本は交渉で大きく出れなかったという。日本の隙をついたのが台湾や韓国だった。

有馬嘉男は国の産業政策として、特定の産業を伸ばすターゲティングと、できるだけ広く多数の企業にチャンスを与える環境整備という考え方があるとし、日本はターゲティングの面でアメリカに封じられ環境整備で台湾や韓国に越されたとした。また坂田は、日本が勝つためには、経済と財政、経済と外交というように複合的なパッケージで打ち出すことが必要だったとした。有馬は日本の逆襲のシナリオとして「市場をつくれ」と提言した。

新たな市場として介護ロボット分野が注目されている。今年度、国は介護用ロボットを開発する企業に24億円助成することを決めた。マッスル(大阪)は産業用ロボットの技術を生かし介護分野への進出を目指しあるロボットには5000万円の開発費を投じた。しかし新分野ゆえに国規定の安全基準がなく、生産しても現場で受け入れられず販売できない状況。こうした声に対応するべく、枠を超え厚労省と経産省が合同で動いている。

坂田一郎氏は新市場として注目される介護ロボット分野について、「日本はこの分野で課題先進国、ここで動いておけばアメリカに先んじて市場が作れる」とした。有馬嘉男は「山中教授がノーベル賞を取った再生医療の分野にて研究に使われる機器はほとんどが外国製。医療機器として承認を取るには時間がかかる」と述べた。坂田は規制緩和より制度創造を提唱。また逆襲のシナリオとして「技術開発に終わらせず市場に出せ」とした。

坂田が参考にすべきとする研究機関が、工業技術研究院(台湾・新竹)。”すべての研究開発をビジネスに繋げる”ことを基本方針に、数々のベンチャー企業を生んでいる。研究開発がビジネスに結びつく秘訣は支援システムの違い。日本では技術発展や製品開発への資金投入が十分ではなく”死の谷”と呼ばれている。

研究成果を市場に出すという話題で、上田早苗ら出演者がスタジオトーク。研究室から出られない技術は、日本の逆襲の中では必ず直さないといけない点だと坂田一郎は指摘した。

中国や韓国などとの競争が激しくなっているアジアの市場で、途上国への援助を行う日本のJICAは新たな取り組みを始めている。この日、担当者はカンボジアの農林水産省で、幹部に現地の米に対応した精米機を作る日本の中小企業の社長を引き会わせた。JICAはODAを活用して中小企業の支援を行なっている。

これに対し日本は、中小企業が海外に進出しやすい環境を整えようと、官民挙げた取組に乗り出している。

一方、韓国も独自の戦略に力を入れている。韓国企業の海外進出や販路拡大を支援する大韓貿易投資振興公社は、支社化事業を強力に進めている。

JICAの支援を受けた精米機メーカーは今、現地で工場を建設中である。国は今年度この事業の予算を倍増。アジア各国の課題に答えられる中小企業の進出を、今後も促していくことにしている。

有馬嘉男は、「この取り組みのポイントは、オールジャパンということと、ODAで世界中に広げてきた信頼のネットワーク、それから課題先進国。日本はこれまで経済成長の過程でいろんな問題を解決してきた」と語った。

JAXAで、新たなロケット部品の開発が始まっている。鍵を握るのは3Dプリンター。JAXAと中小企業が、これまで作れなかった形の部品を開発しようと議論を重ねている。小岩井豊己社長は「装置も材料もメイドインジャパンにしてしまうとか力を合わせればできますよね」と話した。

キーワード
成長戦略
ヒューレット・パッカード
ボーイング
3Dプリンター
オバマ
アメリカ
3Dシステムズ
ドイツ
パーダーボルン大学
笠間(茨城)
コイワイ
小田原(神奈川)
中国
南アフリカ
半導体
韓国
サムスン電子
TSMC
台湾
ルネサスエレクトロニクス
トヨタ
日米構造協議
介護ロボット
大阪府
マッスル
厚労省
工業技術研究院
新竹(台湾)
カンボジア農林水産省
JICA
ODA
カンボジア
日本貿易振興機構
日本弁護士連合会
大韓貿易投資振興公社
ベトナム

エンディング (その他)
02:36~

エンディング映像。

  1. 前回の放送
  2. 5月16日 放送
  3. 次回の放送