時論公論 裁判員10年目へ“見えなくなる”刑事裁判」清永聡解説委員

放送日 2018年5月23日(水) 23:40~23:50
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
23:40~

オープニング映像。

裁判員10年目へ“見えなくなる”刑事裁判 (ニュース)
23:40~

今年2月JR千葉駅前で一人で署名活動するレェ・アイン・ハオさんは小学3年生だった娘が去年3月に登校途中に連れ去られ殺害された。署名を始めたのは事件から一年近く経っても裁判が始まらずに裁判所から連絡もないため。この事件の裁判員裁判は来月開かれる事が決まった。すぐに始まらなかった理由には「公判前整理手続き」があるからで、これまでは逮捕・起訴されて刑事裁判が始まるが裁判員制度が加わるために審議が長引くと裁判員の負担が重くなる。裁判員と検察官に弁護士が争点や証拠を事前に話し合う。

公判前手続きは年々長くなっており、最高裁では平均期間は最初の年は2.8カ月だったが8.3カ月に伸びた。複雑で大規模な事件ほど長くなる傾向がある。一昨年相模原市で起きた障害者を19人殺害した事件も現在公判前整理手続きが行われている。これだけ大きな事件になるといつ手続きが終わって裁判になるか見通しは立っていない。裁判員を経験した人は全国で83000人を超えた。当初期待されたのは元裁判員が全国でその経験を語り市民への刑事裁判への理解を深めることだったが、経験を語る人が増えてはおらず、守秘義務とそうでないものの境目がわからず、守秘義務を気にして口を閉ざす人も少なくない。

確定した後の裁判の記録の扱いは現在、重要な裁判記録は刑事山行記録として法務大臣の指定で検察庁に保管されることになっている。指定されている具体的な事件名は明らかにされておらず一般公開もされていない。この問題では先月法務省がプロジェクトチームを作り、検討に入った。裁判員制度の目的の一つは市民に開かれた司法を通じてその理解を深めてもらうこと。最近の刑事裁判を取材していると裁判員裁判に限らず公開が十分と言えるのか疑問に感じるものもある。

実際に行われた裁判では遮蔽措置と呼ばれる措置があり、犯罪被害者を守るために設置されたもので裁判官や裁判員は見られるが被告、傍聴席からは見れない。最高裁によるとこの遮蔽措置が増えており、一昨年は1832件で使われた。しかし本当に隠す必要があるのか疑問に残るケースもある。オウム真理教元信者の裁判では死刑囚の証人尋問でこの遮蔽措置が使われた。死刑囚は遮蔽措置を求めてはいなかったが死刑囚の心情を理由に行われた。さらに被害者や証人が特定される情報を法定などで明らかにしない制度も始まっている。被害者以外の証人などについてはどこまで慎重に検討し判断しているのか?裁判は公開が憲法で定められた原則で非公開は例外。その例外が法の目的を越えて、歯止め無く増えすぎることはないか?裁判所は明確な基準を作り、後から検証できるようにすることも必要。

江戸時代の名裁判官だった京都所司代の板倉重宗に次のような逸話がある。裁判の両方の主張を聞く時に先入観を抱かないために裁判官の彼だけが当事者を見ないようにし耳を傾けて主張を聞いた。今で反対に自分たちだけが見て市民には見せない知らせないというのではこの逸話とは逆。被害者の保護や裁判員の負担軽減も大切。憲法が定めた公開の原則をどう守り、どのようにバランスをとるか。裁判員制度が10年目を迎えた今市民に開かれた司法、その理念を裁判所は忘れないで欲しいと清永聡解説委員は解説した。

キーワード
レェ・アイン・ハオさん
板倉重宗

エンディング (その他)
23:49~

エンディング映像。

解説内容を掲載している解説委員室ホームページのURL。NHKオンデマンドの告知テロップ。

キーワード
NHKオンデマンド
解説委員室ホームページ

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