かんさい熱視線 関西にカジノ!?〜IRの光と影〜

『かんさい熱視線』(かんさいねっしせん)は、2008年4月4日より近畿地方のNHK総合テレビジョンで放送されているNHK大阪放送局制作の地域情報番組である。

出典:goo Wikipedia

放送日 2018年7月21日(土) 10:55~11:25
放送局 NHK総合大阪

番組概要

オープニング (その他)
10:55~

IR整備法案の審議が大詰めを迎えている。大阪府市は夢洲にIRを誘致したいとしている。府の試算では、経済効果は年間6900億円。外資系IR事業者が、参入を目指して大阪詣でを繰り返している。一方、カジノが出来ることでギャンブル依存症が増えると、懸念を示す人たちもいる。一足先にカジノを合法化した韓国では、依存症が社会問題化している。IRは何をもたらすのか、その光と影を見つめる。

キーワード
IR整備法案
ギャンブル依存症
カジノ
韓国

関西にカジノ!?IRの光と影 (バラエティ/情報)
10:56~

きのうIR整備法案が参議院の委員会で可決された。このあと本会議で採決される見通し。政府はIRを観光立国を推進する要になると主張している。その一方、IRは本当に経済活性化に繋がるのか、依存症患者が増えるのではなど、以前として反対の声も根強い。IRはホテルやエンターテインメント施設、レストラン・ショッピングモール、国際会議場、カジノを含むリゾート施設のこと。これらの施設を1つの事業者が運営するため、巨額の資金が必要となる。カジノはIR事業運営のエンジンとなっていて、今回の法案では国はIRを最大3ヵ所まで認めることになっている。現時点で誘致を表明しているのは全国で7ヵ所。IRの市場になんとか参入したいと、法案可決前から、企業は国や自治体への働きかけを加速させている。

4月、大阪・北区で「関西IRショーケース」が開かれた。世界各地からIR事業者が参加し、自社の強みや魅力をIR誘致を目指す自治体関係者にアピールしている。世界最大級のIR事業者であるシーザーズエンターテイメントのスティーブン・タイト副社長は、多くの集客が見込めると大阪に注目している。シーザーズは世界53か所でカジノやリゾートを展開。先月、東京・文京区で行われたセリーヌ・ディオンのコンサートもシーザーズが手がけた。世界トップレベルのエンターテインメントを提供できると強調し、日本への参入を目指している。

年間売上1兆円を超える世界有数のIR事業者であるMGM。日本の文化を取り入れた施設作りを強調し、地元企業と協力して施設を運営すると自治体にアピールした。アラン・フェルドマン副会長は4年前に大阪に拠点を設け、地域活性化に貢献できると主張してきた。ホームページでは地元の雇用促進や建設資材の調達、さらには開業後もレストランで地元食材を使用すると謳っている。

事業者を選定する大阪府と大阪市は、より多くの利益を地域にもたらす事業者を選びたいと考えている。松井知事は、「世界ナンバーワンのエンターテインメントの施設を作ってほしいと思っている。僕らの仕事は大阪全体の経済のパイを大きくすること。大きくすることでそれぞれの地域の努力が報われていくと思っている」などと話した。地元企業もIR関連の事業に参入しようと、グループを立ち上げている。関西に本社を置く中小企業などで作るグループには、飲食チェーンやIT企業や衣料品店など、幅広い業種が参加している。中小企業がグループとしてまとまることで、IRに関わる仕事を1つでも多く請け負いたいと考えている。

グループの中心メンバーの堀感治さんは、これまでより多くの事業者に参加してもらおうと企業集めに奔走してきた。この日向かったのは、和歌山県にある国内トップクラスのガーデン用品メーカー。海外9ヵ国に拠点を置き、国内外の有名旅館などのガーデンデザインを手がけてきた。大阪にIRが誘致された場合、この企業が加わればIR事業者に対してアピールできると考えた。この企業の高岡伸夫社長は、関西の企業が力を合わせて取り組むことに共感し、話を進めていくことに決めた。これまでグループには、25の企業が参加を決めている。今後も加盟企業を増やし、IR事業になんとか食い込もうと考えている。大阪商工会議所は、地元により大きな経済効果を生み出す仕組みづくりが必要としている。

IRについてスタジオトーク。世界各地のIR事業者は、大阪詣でを繰り返している。IR事業者にとって大阪は、大都市かつ観光資源の多い京都や奈良などに近く、魅力的な立地として捉えられている。一方、国内の大企業の中にはIRが実現した際のビジネスにつなげようと、すでに社内に専門部署を新設したりプロジェクトチームを立ち上げたりしている企業もある。大阪府市のIR誘致は経済活性化が最大の目的。GDPに占める関西経済の割合はかつての20%程度から現在は16%程度にまで低下しているため、東京の後追いではない成長戦略としてIRは観光という関西の強みを生かした経済活性化に起爆剤になりうると考えられている。

IRによる経済効果の試算として、大阪市は建設によるもので7600億円、運営に関するもので年6900億円としている。しかし算出根拠は資料に示されておらず、詳細は明らかにされていない。IRの経済効果に疑問を呈する専門家もいて、静岡大学の鳥畑与一教授は「アジアではIRの建設ラッシュが起きていて、客を奪い合っている状態。周辺国がすでにIRをオープンさせている状況で日本はスタートするはめになる」などと話した。IR誘致について大阪府民を対象に行った世論調査では、賛成が17%で反対が42%、どちらともいえないが34%となっている。反対の理由で最も多かったのがギャンブル依存症への懸念だった。

今月5日、法案の審議が続く中で夢洲のある大阪・此花区ではデモが行われた。参加したのはおよそ80人で、中には家族がギャンブル依存症だという人もいた。

負の影響を懸念する声のあるカジノ。韓国・江原道では、炭鉱が閉山した後に地域活性化の起爆剤として2000年にカジノが誘致された。年間300万人が訪れ、経済効果は年4700億円と言われている。しかしカジノによって街は一変。中心部にはそれまでなかった2時間営業の質屋が軒を連ねるようになった。カジノに続く道には、客が金を借りるため質入れした車が所狭しと並べられている。状況を重く見た韓国政府は5年前、韓国人の入場を月15日まで制限し、本人や家族の申し出があれば入場できなくするなどの対策をとった。また依存症に対応する賭博問題管理センターを設立。ギャンブルによって生じた多重債務や家庭崩壊など、丁寧に話を聞いて相談にのっている。

ギャンブル依存症の60代の主婦を紹介。夫を亡くし時間を持て余していた10年ほど前、カジノにのめり込んだ。ビルを所有するなどしていた豊かな暮らしは一変し、電気や水道も止められ借金は1000万円に膨れ上がった。依存症の患者にはカジノ以外に集中できる無料のプログラムを提供。韓国政府は今、年間17億円を依存症対策に投じている。施設の責任者は、「ギャンブル依存症患者への治療は短期間では終わらない。ギャンブルによる問題が発生しないように予防することを一生懸命行っている」などと話した。

IRの誘致を目指す大阪府市。今年5月、大阪府市はギャンブル依存症対策の研究会を設立し、専門家や患者の会を集めて独自の対策を作ろうとしている。研究会のメンバーである西村直之医師は、20年以上に渡って依存症の患者に向き合ってきた。西村医師はカジノ導入の議論をきっかけに、日本でも依存症対策を進める必要があると考えている。

西村医師が注目しているのがカナダの依存症対策。16のカジノがあるブリティッシュコロンビア州では、9年前から本格的に依存症対策に乗り出し、患者は3割近く減った。スロットマシンにカジノのリスクを表示したり、全てのカジノに州が設立した依存症対策にあたる団体の職員を常駐させるなどしている。職員はギャンブルにのめり込んでいないか、客の行動に常に気を配っている。負け続けても帰らない客や、連日ひとりで入り浸る客などを見かけたら声をかけるようにしている。依存症の兆候をいち早く発見するため、従業員教育にも力を入れている。従業員教育は3年おきに行われ、これまでに1400人が受講した。

ギャンブル依存症患者の治療を行ってきた西村医師は、最新技術を使った依存症対策の開発に取り組んでいる。VRの技術を使い、ギャンブルのリスクを伝えることができると考えた。ゲームに負け続ける疑似体験をしてもらうことで、予防につなげようと考えている。西村医師は、予防に主眼を置いた日本の依存症対策のモデルを作っていきたいと考えていた。

ギャンブル依存症についてスタジオトーク。海外で依存症対策に携わる人々は、みな「依存症になったら完治はない」と主張していて、国内のIR推進派も依存症のリスクについては否定していない。IR推進派はIRの大きな経済効果を重視し、依存症のリスクを小さくする対策をとることで懸念を解消したいとしている。一方でIR反対派は依存症対策にかかるコストを考慮すると経済効果は限定的などと主張している。

国はIR整備法案とは別に今月6日、ギャンブル依存症対策を国が取り組む法律を成立させた。医療体制の整備などを盛り込んでいる。IR整備法案ではカジノに一定の制限を設け、日本人利用客を対象に入場料を6000円にすることや、入場回数を1週間で最大3回、4週間で10回にすることをしている。依存症対策の大きな方針は国が示したものの、具体的な対策は誘致する自治体に委ねられている。松井知事は「IR導入が依存症対策を進めるきっかけになる」としていて、パチンコや競馬などの依存症対策も進めたいとしている。依存症患者は周りに気づかれにくく、自発的に治療に足を運ばないという傾向があるため、治療は難しく誘致する自治体は予防に力を入れる必要がある。

IRを誘致する自治体は公募によって事業者を選定し、その後は事業者と共に具体的な事業計画を策定し、国へ申請する。国はその中から最大3か所に設置を認めることになる。申請の前には地元議会の議決が必要で、地元議会で否決されると国への申請はできなくなる。

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